【追球】ロッテ涌井 申告敬遠使わず4球投げたワケ

[ 2018年4月6日 09:30 ]

パ・リーグ   ロッテ9―5オリックス ( 2018年4月5日    京セラD )

<オ・ロ>6回2死、申告敬遠せず4球ボールで敬遠されるT―岡田
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 今季から投球せずに敬遠できる「申告敬遠」が導入された。しかし、ロッテ・涌井秀章投手(31)は5日、オリックス戦の6回2死三塁の場面でT―岡田外野手(30)を迎えると、従来通り捕手を立たせて、4球ボールを投げる敬遠を選択。その直後に降板した。今季初の「申告しない敬遠」。その理由とは――。

 開幕戦と違う光景だった。4―2の6回2死三塁、涌井は捕手・田村を立たせたまま、外角高めへ4球外した。T―岡田を一塁へ歩かせ、5回2/3を2失点で降板。今季から「申告敬遠」がルール化され、3月30日の楽天戦の4回2死では、4球投げずにアマダーを歩かせた。2つの場面には違いがあった。

 4球投げたのは「チームの指示か」と問われたエースは「そうですね」と短く言った。

 謎の采配の答えは首脳陣の「親心」にある。このピンチは2番手・南が安達を二飛に打ち取った。伏線は4日の同カード。6回2死二塁でT―岡田を迎え、井口監督は「申告敬遠」を選択。先発・二木から南につなぎ、ここも南は安達を二ゴロに仕留めていた。

 清水投手コーチは「まだ、申告敬遠は慣れていない。4球投げて、これまで通りのタイミングで行かせようと話して、時間の使い方を変えました」と説明。前日に南がマウンドに向かう姿を見て、首脳陣でミーティングを持った。「4球」を投げずに交代となる「間」を嫌い、何年も重ねてきた中継ぎのルーティンを守った。涌井は1分4秒をかけて敬遠。「4球」で維持できるいつもの「間」だ。

 南の2試合連続での火消しが功を奏し、中5日で本調子ではなかった涌井も今季初勝利を手にした。「基本的に投げたら完投の意識でやっている。6回途中で代わり、こんな形になった」と反省した上で「次に向け、いい1週間にしていきたい」と切り替えていた。

 繊細な投手心理を尊重し、オリックスの追い上げをかわした井口采配。下克上で日本一になった10年以来8年ぶりの開幕2カード連続3連戦勝ち越しだ。 (福浦 健太郎)

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