大谷、歴史的メジャー初登板初勝利!99年ぶり“ルースの道”

[ 2018年4月3日 05:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス7―4アスレチックス ( 2018年4月1日    オークランド )

メジャー初先発し、6回を投げて3安打3失点で初勝利を飾った大谷
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 エンゼルスの大谷翔平投手(23)が1日(日本時間2日)、アスレチックス戦にメジャー初登板し、6回を3安打3失点で初勝利を挙げた。メジャーで先発デビューし、勝利した日本投手は11人目。記録専門会社によると、開幕戦に野手で先発出場した選手が開幕から10試合以内に投手で先発するのは1919年のベーブ・ルース以来99年ぶり。「ルースの道」へ、二刀流が本格的に始動した。

 この男は重圧どころか、メジャーの舞台を満喫していた。小学2年で野球を始めたころのように。大谷は目を輝かせ、こう言った。

 「今日は本当にただただ楽しく投げられた。マウンドに行く時も、一番最初に野球を始めてグラウンドに行く時の気持ちで投げられた」。初回2死、オルソンの初球に球場表示でこの日最速99・6マイル(約160・4キロ)を計測。テレビ表示は100マイル(約161キロ)だった。2―0の2回に連打からチャプマンに逆転3ランを被弾した。甘く入ったスライダーで「少しひきずった」と言う。ベンチに戻ると、マイク・ソーシア監督に言われた。

 「ここから抑えれば何も問題ないから」。切り替えた。2回以外は安打を許さず、逆転勝ちにつなげた。メジャー移籍後初となる100マイルを3度も計測し、力でねじ伏せた。花巻東時代に一度は志した最高峰のマウンド。「全体的に凄い楽しめた。そっちの気持ちの方が緊張感を上回っていた。入りから最後までそういう気持ちだった」とはにかんだ。

 5度の実戦全てに失点した開幕前のイメージを払しょくした。好投の理由は「本当に、そこ次第かなという部分はあった」。“そこ”とは宝刀スプリット。渡米後最多の全92球中、24球を投げ込み、6三振のうち5三振はスプリットで奪った。

 「(捕手の)マルドナド選手は1球もそらさずに丁寧に捕球してくれていた。そこは感謝したい。切り替えるきっかけにもなった」。3月24日の開幕前最後の実戦登板で本格解禁したスプリットを多投した。さらに乾燥したアリゾナ州のキャンプ地よりも湿気のあるオークランド。マウンド上で右手に息を吹きかけて指先の湿気を保つ工夫も奏功し、精度はさらに増した。

 課題だったイニング間の準備も克服した。日本と異なりベンチ前でのキャッチボールは禁止。ベンチ裏にウオーミングアップできるスペースもなく「ウエーテッドボール」と呼ばれるメジャー球の2〜3倍の重量のボールを持ち、腕を回すなどして次の回の投球に備えた。中継ぎ右腕ミドルトンら中南米系の選手からヒントを得た工夫で「いろいろと試しながら一番自分に合っているものを選択していければいい」と手応えを口にした。

 日本ハム時代に2度達成した同一シーズンの「2桁勝利、2桁本塁打」。メジャーでは1918年のベーブ・ルースが最後で達成すれば100年ぶりだ。「ここまで来たんだな、というより始まったなという思いが強い」。まさしく「世紀の挑戦」へ。大谷自身がよく分かっていた。 (柳原 直之)

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2018年4月3日のニュース