【ロッテ井口監督独占手記】改革したいのは“意識”「もっと勝ちに飢えないと」

[ 2018年3月30日 09:00 ]

新たに設置された自身の巨大パネルの前でポーズをとる井口監督
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 12球団唯一の新人監督、ロッテ・井口資仁監督(43)が本紙に独占手記を寄せた。就任時に13年ぶりの「優勝」を目標に掲げたが、その準備は完了したとつづった。借金33から史上最大の下克上を狙う。

 開幕を迎えるにあたり、角中がケガをし、外国人選手の調子が上がらなかったことはありますが、代わりにルーキーの藤岡裕、菅野らが台頭してきた。チームの状態は100点に近いと思います。

 オープン戦はチームで3本塁打でしたが、その分だけ四球を選び、19盗塁。先の塁を狙い、効率よく点が取れました。よく「走塁改革」と言われますが、走ることは「改革」ではなく、普通のこと。今までは選手の意識が足りなかった。当たり前のことができなければ勝てない。だから昨シーズンのような成績になったんです。

 変えたいのは「意識」。勝てないチームは悪い伝統がチーム内の常識としてある。長く居る人にはそれが当たり前になってしまう。常に優勝するんだという意識が、足りなくなる。それが1点差の試合を落とすことになる。もっと勝ちに飢えないといけない。その思いは伝えています。

 伝わり始めた手応えもあります。石垣島のキャンプでは全体練習前から自主的に動く選手が出てきた。これまでチームでは見たことのない光景でした。

 その中に田村もいました。23歳と若いけど、投手を引っ張るチームの要です。そんな男が初の対外試合(2月17日、台湾・ラミゴ戦)で遅刻をしました。それまで早出で努力する姿は見てきましたが、彼は手本を見せるべき立場。即2軍へ行かせました。厳しい判断かもしれませんが、それだけ期待しています。彼にとってみれば遅刻も、いい試練だった。今はしっかりとチームを引っ張る姿を見せてくれていますよ。

 選手の頑張る姿を見てきたからこそ、この数日は頭を痛めました。開幕2軍通達です。昨年まではコーチの仕事でしたが、監督が伝えないといけないと思ったんです。相手は昨年まで一緒にユニホームを着ていた選手。家に帰っても「明日、言わなくちゃいけないのか」と苦しみました。ただ、言われる選手はさらにキツいと思う。だから、しっかり伝えようと思いました。

 そうやって選んだ開幕のメンバーだし、信頼して使いたい。選んだからには心中するつもりでレギュラーを固定します。そうしなければ成長はないと思う。調子がいい時だけ使うのではなく、悪い時、どうしたら抜け出せるか、選手には波を小さくする方法を考え見つけ出してほしい。

 選手から監督になり、変わったことは球場に来る時間です。選手の時は午後1時だったのが、今は午前11時くらいかな。練習時間に自分が体を動かすわけにはいかないし、自然と早まりますね。

 練習は二塁手の定位置から見ることが多いですね。打撃ケージ裏より、内野手も見られるし、ボールとバットのコンタクトも分かる。走塁、外野、投手陣にも近い。ここは一番いいポジションだと思います。近くで見る方が、選手も引き締まった練習ができる。その意識改革の意味も含めて立っています。

 開幕前には地元・西東京市にある田無神社で手を合わせました。自分の健康と、チームのこと。ただ、これはシーズン中もやっていること。西武戦のビジターは近くを通るので毎日、年で言えば何回どころか、数十回になります。

 開幕戦は143分の1と考えています。験担ぎではないんですが、自分で鯛(たい)をさばいてみました。知り合いが「釣ったぞ」と届けてくれたので、刺し身、鯛しゃぶ、カマ焼き…。自分で作るとおいしいんですよ。

 監督就任にあたり、優勝という目標を掲げました。その準備は現時点ではできたと言えます。オープン戦でやってきたことを出せるか。チャレンジしないと勝てない。チャレンジしたことに対し、失敗しても後押ししたい。選手は変わろうとしている。そこでなんとか、尻を押してやりたいと思っています。 (千葉ロッテマリーンズ監督)

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2018年3月30日のニュース