イチ 現役は「“最低”50歳。そこは誤解しないでほしい」

[ 2018年3月9日 05:30 ]

古巣・マリナーズに復帰が決まり笑顔で会見の席に着くイチロー(中央)
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 ――5年前とは違う選手か。

 「いろんなことを経験しました、この5年半。また耐性が強くなった、耐性というのはいろいろなことに耐える能力、これが明らかに強くなったということです。選手としての能力に関しては、今は数字で分かる時代なので、皆さんの方がご存じだと思いますけど」

 ――51歳まで現役を目指している。

 「皆さん、よく50歳までという話をされることが多いですけど、僕は最低50歳といつも言っているので、そこは誤解しないでほしいですね」

 ――昨季のセーフコ・フィールドの最終打席は本塁打だった。

 「あの時、シアトルで最後の打席と言われたことが確かにありました。でも、僕はいずれ戻ってきてプレーしたいと、できるんでないかと、全く根拠はないんですけど、そう思っていました。こういう形で戻ってきて、シアトルのファンの方々から“お帰り”と心から言ってもらえるような自分でありたいなと」

 ――FA市場が停滞していた。

 「周りも心配してくれることはたくさん聞いたんですけど、僕自身の状態としては泰然とした状態であったと思います。泰然という状態は、プレーヤーとしても、人間としても、常にそうでありたいという状態、目指すべき状態ではあったので、そういう自分に出会えたことはとてもうれしかったです」

 ――カノ(ヤンキースの同僚)、エドガー(マルティネス打撃コーチ、04年まで同僚)と再び同じチームに。

 「ロビー(カノ)とはまたプレーしたいと思ってましたし、エドガーがコーチになった時も、やっぱり一緒にいつかやってみたいと。(ヤンキース、マーリンズでも同僚だった中継ぎ投手の)フェルプスに関しては、なぜか僕が追いかけているという状態なんですけど、おそらくそんなふうになるんじゃないかと。それはちょっとした根拠になるんですけど、今回シアトルに戻るんじゃないかという一番の根拠は、確かにフェルプスがいたことでした」

 ――シアトルへの思いを。

 「ニューヨーク、マイアミと5年半が過ぎましたけど、その間も僕の家はシアトルにあった。飛行機から見えるシアトルの街だったり、セーフコ・フィールドは僕には凄くホームなのにホームでない、近いのに凄く遠く感じるという、存在になっていたんですけど、今回戻ることができて、また見える景色が違うのかなと」

 ――クラブハウスへ入る感覚は。

 「まず顔と名前を覚えなきゃいけないんですけど、怖いのは僕の、年齢的には息子みたいな選手たちがいっぱいいることは、ちょっと怖いですけど。でも、プレーをすれば、僕も息子側に入れるというのは、しっかり見せたいと思います」

 ――決まるまで4カ月間の心を“泰然”と表現した。心が折れそうになった時は。

 「折れそうになっていると“泰然”にはならないですよね。ということはないということです」

 ――目が潤んでいるように見える。

 「こういう会見の場合、目が潤んでいることがメディアにとっては大好きみたいですけど、目が潤んでいるように見えるとしたら、時差ボケの影響かと思います」

 ――マリナーズ入りが現実味が帯びてきたときに、どこか躊躇(ちゅうちょ)する自分がいたのか。

 「躊躇は全くなかった。(即決か?)この話を頂いた時に、考える理由すらなかったです。その時点で」

――契約がずれ込み、開幕まで残り3週間。練習プランは。

 「自分のスタンスをどこに置くかは考えてますし、まずスプリング・トレーニング(キャンプ)の間はもちろん待つしかない。じゃあシーズンが始まったらどうするか、というのは次の段階で。そこでもなかったら、じゃあどうする、ということは具体的に考えたことはあります。ただ、練習のプランは変わらないです。(試合に出るタイミングは)いつでも大丈夫です」

 ――野球を続ける場所や国、レベルは常にメジャーだったか。迷うことはあったか。

 「迷うことはなかったです。メジャーでやる気持ち。これのみでした」

 ――チームのために全てをささげたい、と。18年目で初めて抱いた気持ちか?

 「もう少し細かくというか…そのチームのためにプレーする時に、そのチームのために全力を尽くすというのは当然です。どのチームでもそうです。最初のどうでしょうか…3年ぐらいを除けば。3年結果を出さなければ消えていくだけなので。それは違います。やっぱりこういう状況になって、特に…年齢のことというのはみんながなぜか気にすることであるので。例えば年齢も40歳以上の選手は採用しない、雇わないという考え方だったら、自動的に省かれるわけですから。でも、こういう今の少し違う野球になってきた時代だと思うんですね。その中で。どうでしょうか。印象としてはケージの中で一番大きく育ってしまった犬を優しく迎えてくれた。それに対して、全てをささげたい、忠誠心が生まれるというのは当然のこと」

 ――FA市場や契約で年齢がネックになると毎年感じていると思う。この点で理解できること、できないことは。

 「理解できる部分で言えば、実際にその年齢に達した選手は20代、30代の時と同じように動けている例が少ないという。これは歴史から導かれる答えというか。そういう観点から言えば理解できる。ただ、どうやって、そこまで過ごしてきたかということによって、同じ年齢でも状態としては違うということは当然なんだろうと。そういう見方をすれば、それだけでくくるのはどうなのかなという思いはあります」

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2018年3月9日のニュース