多田野氏 引退セレモニーの日に解けた“わだかまり”「今度食事でも行こう」

[ 2018年3月8日 10:40 ]

元巨人の加藤健氏から日本ハム・多田野氏に届けられた花束
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 3月1日の台湾ラミゴ戦(札幌ドーム)前に行われた、インディアンス、日本ハムなどで活躍した多田野数人氏(現日本ハムプロスカウト)の引退セレモニーを取材した。

 多田野氏で思い出される試合の1つが、12年の日本シリーズ第5戦。巨人が5―2のリードで迎えた4回に犠打を試みた巨人・加藤健の頭部付近に直球を投じた。実際にはボールは体に当たらなかったが、当初のファウルの判定から死球と判定されて、多田野氏は危険球退場となった。

 多田野氏と加藤氏は同学年。いわゆる「松坂世代」だ。多田野氏にとってはあの試合を思い返すたびに「すっきりしなかった」という“因縁”の加藤氏から引退セレモニーに合わせて花束とともにメッセージが届けられたのだ。現在はBCリーグ新潟の球団社長補佐を務める加藤氏と親交のある日本ハム・木田優夫GM補佐を通じ「お疲れ様でした。行きたかったけど、行けなくてすみません。今度あらためて“お疲れさま”と直接言わせてもらいたい」との言葉が多田野氏に届けられた。木田GM補佐が仲介役となり、セレモニー後には直接電話で会話した2人。「あの試合以来話していなかった」という多田野氏は「すっきりした。今度食事でも行こうという話をした」と晴れやかな表情で話した。

 現役時代はリーグが違うこともあり、同学年ながら普段から話す機会は少なかったという2人。多田野氏は「今では仕方なかったと思う。ずっと話していなかったのも、たまたま機会がなかっただけ」という。多田野氏の引退セレモニーを機に距離が縮まった2人。今後はそれぞれの立場で野球界に貢献していく。 (記者コラム・東尾 洋樹)

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