「野球人生そう長くないんで」オリックス岸田、36歳の原点回帰

[ 2018年2月28日 10:30 ]

フリー打撃に登板する岸田
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 オリックス・岸田護投手(36)は背水覚悟のシーズンへ“原点回帰”を決めた。「今は2軍の立場ですから。まずは開幕1軍を目指して、しっかり頑張るだけです。人生競争ですから」。例年通りおしゃれなアゴヒゲをそり落としてキャンプイン。投手陣最年長はさっぱりした表情で爽やかに意気込んだ。

 8年ぶりの先発再挑戦で始まった昨季は正念場が続いた。初登板となった4月29日ソフトバンク戦で4四死球を与えるなど3回1失点で降板。2軍調整を命じられると、5月には再び中継ぎに配置転換された。救援陣は黒木、近藤ら若手が台頭したこともあり、プロ入り後最少の4試合登板と不完全燃焼に終わった。「自分の野球人生は、そう長くないんでね」。決意をあえて口に出し追い込む姿から今季に懸ける思いの強さが、うかがえる。

 原点回帰の一つが投球時のプレート位置を元々の三塁側に戻したこと。昨季は先発再挑戦に備え、右打者の内角をえぐるシュートを生かすために一塁側へ変えた。しかし、持ち球のチェンジアップの軌道が実はシュート気味に沈む傾向があり、一塁側から投じることで真ん中付近に集まってしまい痛打されるケースが増加。修正を求めた結果、直球の球威や変化球など他球種の精度にも影響が出る悪循環だった。“定位置”に戻したことで「だいぶ感じは良いです」と手応えを口にする。

 肉体改造にも着手した。昨季76キロだった体重を4キロ増の80キロを維持。「先発だったので体重を絞ったんですが、中継ぎでやるには真っすぐの球威、球速が必要なので」。肉や魚などバランス良く栄養を摂取。パワーアップと並行して、一昨年オフから導入している「初動負荷トレーニング」も継続。50歳まで現役だった元中日の山本昌氏、マーリンズ・イチローも取り組んでいるもので、柔軟性にも磨きを掛けている。

 26日の紅白戦で今季初実戦登板。1回を1安打無失点。ベテラン右腕の快投を視察した福良監督は近日中にも1軍に合流させることを示唆した。

 06年の入団後、主に先発を務めて09年には10勝をマーク。救援でもセットアッパー、クローザーを担いチームに貢献してきた。ムードメーカーで周囲を気遣う献身的な人柄で、守護神・平野が米ダイヤモンド・バックスに移籍しただけに若手中心の救援陣において岸田の存在は欠かせない。「とにかくシーズンに向けて頑張るだけです」。1軍マウンドで躍動する背番号18の姿を多くのファンが待っている。(記者コラム・湯澤 涼)

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2018年2月28日のニュース