【伊東勤氏チェック】阪神 戦術に幅持たせる打力ある原口“第3捕手”

[ 2018年2月16日 09:28 ]

シートノックを受ける(右から)梅野、原口、(一人おいて)長坂、坂本
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 昨年までロッテを指揮した伊東勤氏(55=スポニチ本紙評論家)が15日、阪神の宜野座キャンプを視察した。三つ巴となっている正捕手争いを、ブルペンでゴールデングラブ11度の名捕手の視線でチェック。チームづくりに欠かせない競争が、捕手だけでなく複数ポジションにあり、優勝を狙うために必要な「バランス」につながっていると説いた。

 一つのポジションを何人かで競わせる。私はそれがチームづくりで最も重要だと思っている。昨年1試合しかマスクをかぶらなかった原口が捕手再挑戦を目指している。正捕手を巡り、ほぼ同年代の梅野、坂本との三つ巴。熱を帯び、チーム全体へポジティブな影響をもたらしていた。

 この日はブルペンでキャッチングに注目した。これは人の好みにもよるのだが、私が好きなタイプは坂本。左肘を張らさず余裕を持たせ、より体に近いポイントで捕球していた。この方がギリギリまで引きつけることで、とっさの判断で動ける。試合で構えたところに100%くることはまずない。西武で細川や炭谷、ロッテの田村にも引きつけて捕るように教えてきた。

 逆に腕を伸ばして捕りたい捕手は、球審によく見せたい部分があるのだろう。くさいコースを、極端に言えばボール球をストライクと判定させるケースもないわけではない。

 原口は打力という他2人を上回る明確な武器がある。仮に正捕手はつかめず「第3の捕手」となっても、1軍に残る意味では悪い選択ではない。代打や一塁でも起用できる第3の捕手なら、チームの戦術に幅を持たせることができる。

 全体を見渡しても遊撃や外野、先発投手と競争が盛ん。しかもベテラン、中堅、若手のバランスは12球団で一番いい。ベテランはポストシーズンを戦う上で重要だし、そのためにこの時期に若手をどこまで育てられるかが大事。このバランスの良さなら大崩れはしない。そしてそのバランスの根底に、し烈で確かな競争がある。(スポニチ本紙評論家)

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