松井臨時コーチの流儀「100%確信」しか伝えない――大器・岡本開花へ“水をやる日々”

[ 2018年2月9日 10:50 ]

岡本の打撃を見守る松井秀喜臨時コーチ
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 松井秀喜臨時コーチは、巨人・岡本を「岡本君」と呼んでいるという。6日からスタートした、宮崎春季キャンプでの直接指導。松井コーチには、アドバイスをするにあたって確固たる信念がある。「自分が見て、こうした方が良くなると100%確信を持っていることしか伝えない」――。これが、ゴジラの流儀だ。

 岡本に対しても、まず「見る」ことから始めた。2年ぶりの臨時コーチ。6日に宮崎入りすると、フリー打撃では真後ろ、右斜め後ろ…と細かく場所を変えながらじっと視線を注いだ。その間、一切の口出しはしない。そして松井コーチは、岡本のフォームが速いボールに差し込まれやすい、と感じた。それは、体の軸がぶれて上体が投手側に流れてしまうから。軸足に体重を残し、少しでも長くボールを見る。その「なぜ」を伝え、本人がきちんと理解した上で指導に乗り出す。同日の練習後には、サンマリンスタジアムのミラールームでマンツーマンでアドバイスを送った。なぜ、を伝える第1のステップ。丁寧に段階を踏んで、翌日から本格的な指導が始まった。

 7日からはフリー打撃、居残り特打などの合間、合間で、身ぶり手ぶりを交えながら熱心に助言。「師弟」の2人きりで話し込むようなシーンも増えた。岡本は21歳。生まれたのは松井コーチが巨人入団4年目だった96年だ。だから「僕にとって松井さんは、(03年から所属した)ヤンキースのイメージの方が強い」という。「こういう機会はめったにない。話しやすい方だし、本当にありがたいと思う。早く自分のものにしたい」と、その言葉も自然と熱を帯びる。

 プロ生活20年。松井コーチは日米合わせて計2504試合で1万562打席に立ち、2643安打、507本塁打を放った。さらには当時の長嶋茂雄監督から、「4番1000日計画」として熱烈な指導を受けた若き日々の濃密な記憶も持っている。それら自身の財産から導き出した「良くなると100%確信を持っていること」を今、岡本に伝授している。松井コーチは言う。「長い目で考えているし、(打撃が)良くなったらそれは本人の努力」。4年目、大器が花開くのか。立春が過ぎてもいまだ肌寒い宮崎で、松井コーチが熱心につぼみに水をやる日々は続く。(鈴木 勝巳)

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2018年2月9日のニュース