今季ブレーク有力!広島19歳・坂倉“もう一つの隠れた才能”とは…

[ 2018年1月29日 09:30 ]

今季のブレークが期待される広島の坂倉将吾
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 育成の広島から、今季ブレークするのは誰か。予想してもらえば、おそらく大半の球団関係者やカープ担当記者は、強打の若手捕手の名前をあげる。

 坂倉将吾、19歳。昨季は高卒1年目ながら、ウエスタン・リーグ2位となる打率・298を記録した。9月30日のDeNA戦ではプロ初安打となる適時打を放ち、10月のファーム日本選手権で巨人・森福から放った本塁打は、2軍日本一を決める決勝弾となった。若手では群を抜く打撃センスは、すでに知られたところ。今春、初の1軍キャンプスタートをつかんだ坂倉と接していると、もう一つの隠された才能が見えてくる。それは“コメント力”だ。一本筋の通った持論に、これまでも何度か驚かされてきた。

 「1軍には石原さんや会沢さんもいるし、これから疑問に思ったところは聞きに行くこともあるかもしれません。でも、毎回毎回聞きに行っているようではダメだと思う。ちゃんと自分の中で考えて、それでも分からなくなったり、壁にぶつかったときに先輩にアドバイスをもらいにいくことはあるかもしれない。でも、教えてもらうことで満足しているようでは成長しないと思っているので」

 先乗り合同自主トレでは、連日ブルペンに入り、先輩の球を受ける。隣には同じ高卒で今季8年目を迎える磯村が、持ち前の明るさと心地良いミット音を響かせて、投手を調子よく乗せていく。一方の坂倉は、納得のいく“音”を確率よく出せるわけではない。「すみません! でも、ナイスボールです!」。何度も悔しそうな表情を浮かべ、正解を求めてひとり自問自答を繰り返している。

 周りに流されない芯の強さは、高校のころから変わらない。日大三で猛練習に耐えたが、高校3年間で甲子園出場はかなわなかった。今春、母校の選抜出場が決定。しかし、そこに“嫉妬”はない。「うらやましいという感じはないですね。高校のときも、僕は甲子園が全てとは思っていなかったというか…。もちろん、行きたかったですよ。でも、野球をやっていく中での通過点というか。だから、今も甲子園を特別な球場とは思っていないですね」。誤解を招かないように慎重に言葉を選びながら、偽らざる本音を教えてくれた。

 ありふれたコメントをして、やり過ごすことはしない。今日は何と答えてくれるだろうか――。19歳の選手が、そう思わせてくれる。坂倉の野球観は、ひと味違う。(河合 洋介)

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2018年1月29日のニュース