マー 恩師・星野さん誕生日に誓った「WS制覇が一番」

[ 2018年1月23日 05:30 ]

子供たちの前でキャッチボールを披露する田中
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 ヤンキース・田中将大投手(29)が、楽天時代の恩師である故星野仙一氏(享年70)の誕生日にあたる22日、ワールドシリーズ制覇を誓った。渡米から4年連続2桁勝利となる通算52勝を挙げ、3年連続開幕投手と名門のエースに上り詰めたが、星野氏の求めていたレベルはもっと高いと力説。米5年目のシーズンへ、天国の星野氏に納得してもらえる快投を約束した。

 71歳の誕生日を祝うはずだった。楽天時代の監督として3年間指導を受けた星野氏。4日に膵臓(すいぞう)がんのため死去したとの報を受け、驚きと悲しみと、感謝の言葉を並べていた田中は、改めて恩師の誕生日に力を込めた。

 「期待してくれていただけの活躍はできていないと思っている。必ず見てくれている。星野さんの求めてくれる高いレベル、それに応えられるようにしたいと思っています」

 日本で最後の雄姿となった13年。24勝0敗、防御率1・27と空前絶後の数字で楽天初のリーグ優勝、日本一へ導き、メジャーへ巣立った。「自分のプロ野球生活の中で、リーグ優勝、日本一となれたのは13年だけだった。監督に就任されてからも気に掛け、アメリカに渡る際も背中を押して応援してくださった」とともに戦った日々と感謝の思いは尽きることはない。

 昨年11月28日の野球殿堂入りを祝う会が最後の別れとなった。「リーグ優勝の時も、CS、日本シリーズの時も最後の場面で投げさせていただき、感謝しかありません」。第6戦に160球完投しながら、第7戦の9回に連投起用され胴上げ投手に。壇上でこうべを垂れた。「(第7戦の)試合前はベンチから外すつもりだった。でもコーチが“投げたいと言っている”というから入れた」と回顧する星野氏と、当時を懐かしんだばかり。「まさかあの時お会いしたのが最後になるとは思っていなかった。結果的に最後になってしまったが、あの場でお会いすることができて良かったと思っています」と故人をしのんだ。

 つらい別れから始まった今季。目指すのは一つだ。「チームの目標はワールドシリーズ制覇が一番。自分自身は一年間ローテーションを守り、かつコンスタントにいい投球をしていくしかない」。昨年、ア・リーグ優勝決定シリーズで王者アストロズをあと一歩まで追い詰めながら、届かなかった頂点。プロになってからは、星野氏とともにしかつかんでいない頂点をもう一度――。優しくも厳しかった恩師に胸張れる投球でその座に導くことが、田中にできる最高の手向けとなる。 (後藤 茂樹)

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2018年1月23日のニュース