【伊東勤の野球論】我が強くなる前に教え込んだ炭谷&田村

[ 2018年1月11日 09:30 ]

西武監督時代、炭谷(左)と話す伊東氏
Photo By スポニチ

 今年からスポーツニッポン新聞社の評論家に就任した伊東勤氏(55)が、現役22年、監督歴9年で培った勝者の「野球学」を連載で紹介します。「捕手編」から「最強チーム編」まで全5回。選手、監督時代を通じて15度のリーグ優勝と9度の日本一を経験。試合を知り、勝利を知り尽くした伊東氏の野球哲学を伝えます。

 《(1)捕手編》

 捕手は「いかに犠牲になれるか」に尽きる。自分のことは二の次、三の次で、投手、チーム、相手打線を最優先に考える。私も自分のことを考えられるようになったのは、正捕手として試合に出られるようになって3、4年たってからだった。

 監督になってチームづくりをするとき、最初に捕手を決めた。捕手は監督の分身だし、そこが落ち着かないとチームも落ち着かない。西武では06年に高卒1年目だった炭谷を開幕捕手に抜てきし、ロッテでも高卒の若い田村を重用した。それは「捕手は我が強くなる前に教え込む」という持論から。大学、社会人で実績ある選手はいいところもあるが我も強い。捕手は頭が柔らかいうちに徹底して教え込むことが肝心だと思っている。

 その点で炭谷も田村も純粋だった。5年間見てきたが田村も捕手らしくなってきた。今はイケイケからの転換期。今は苦労して苦労すればいい。

 捕手に一番大事なのは構え方。安定感のある、投手が安心して投げやすい構え方をしないといけない。ソワソワしていると投手に伝わる。そして決してボールを後ろにそらさないこと。走者が三塁にいても投手が安心して変化球を投げられることが捕手には必要だ。

 現役選手ではソフトバンクの甲斐、オリックスの若月あたりは成長している。とくに甲斐は昨秋に侍ジャパン(アジアプロ野球チャンピオンシップ)で接したが、性格の強さを持ちながら投手に対して謙虚さを感じた。

続きを表示

2018年1月11日のニュース