ヤクルト若手に足りないもの――宮本ヘッド「できるのに、やっていなかったのかな」

[ 2018年1月5日 09:30 ]

10月、秋季練習を視察し、山田と笑顔で話す宮本ヘッドコーチ
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 昨年12月。ヤクルト・宮本ヘッドコーチを取材する機会に恵まれた。その中で、印象的だった言葉がある。「できるのに、やっていなかったのかな」。これは本格始動した秋季キャンプを終え、その感想を伺った際に出たコメントであった。猛練習に耐えきれず故障者がもっと出ると思っていた。でもふたを開ければ終盤に2選手のみ。ということは…。という意味だった。

 昨季球団ワーストの96敗に沈んだ。真中前監督の退任発表以降、勝利ではなく来季以降を見据えた若手の積極起用が目立っていた。そのため、単純に負け数だけでの評価はできないが、歴史に残る苦しいシーズンだったことは確か。低迷していたチームを率い、就任1年目の15年にはリーグ優勝を飾っている。当時は自主性を重んじるスタイルに、選手たちがマッチしていた。

 宮本ヘッドコーチの話を聞いた際、昨季から新加入したベテラン・大松の談話を思い出した。昨年の6月頃だったと思う。「なかなか結果を残せていない自分が言うのもおかしいかもしれないが、若い選手はもっとがむしゃらさを出してもいいのかなと思う」。神宮での試合後。大松は一塁ベンチ裏のミラールームで素振りを行ってきた。最初は一人だけだったが、徐々に若手がマネをし始めた。

 最初は大松とロッカーが隣の西浦が、続いて荒木も…。徐々に行動をともにする若手が増えた。球団関係者も「大松は数字(打率・162、3本塁打、16打点)だけでは計れない部分がある。周りにいい影響を与えているからね」と認める。結果に左右されず、実直に野球と向き合う姿勢は、チームの若手にも好影響を与えてきた。

 宮本コーチに大松。生え抜きと外様。置かれた立場も違うが、両者の話からは現状のチームへのもどかしさ、物足りなさを感じた。ヤクルトの観客動員数は順調に伸びている。小川新体制での再出発。今季は、右翼席を埋め尽くすファンの応援に応えるような好プレーを期待したい。(記者コラム・川手 達矢)

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2018年1月5日のニュース