栗山監督の大谷愛 ジンベエザメに祈った「世界一の選手にしてください」

[ 2017年12月26日 06:50 ]

大谷会見 ( 2017年12月25日    札幌ドーム )

大谷(左)から贈られたエンゼルスのユニホームに袖を通す栗山監督
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 自分の感情は抑える。心に決めていた日本ハム・栗山監督が少しだけ目を潤ませた。エンゼルスカラーの赤色のネクタイを締めて参加した会見後、報道陣から「米国でも二刀流で成功する秘けつは?」と問われた時だ。しばらく迷いながら出した言葉は「正直言えば、愛なんでね…」。無償の愛を注いだ5年間。大谷が新天地でも環境に恵まれることを祈っている。

 今季、栗山監督は「メジャー全球団に“翔平が欲しい”と思わせる」と決意して臨んだ。だが計算は狂った。大谷は4月に左太腿裏の肉離れを発症。地道なリハビリを経て6月下旬に1軍に復帰したが、本調子に至るまで長い時間がかかった。

 ようやく投打で復調した9月上旬、本拠地監督室に大谷を呼んだ。「投げる日を自分で決めていい」。異例の通達はメジャー移籍を見据えた親心だ。「向こうでは自分で決めなくてはいけない局面が出てくるかもしれない。一つでも多く引き出しをつくってあげたかった」と振り返る。

 11月上旬、沖縄県国頭村での秋季キャンプの休日に同県北部の「美ら海水族館」に足を運んだ。世界最大級の水槽で飼育されているジンベエザメに合うためだ。15年の秋季キャンプでも同水族館を訪れ、ジンベエザメに必勝祈願。翌16年に日本一に輝いた。魚類で「世界一」の大きさを誇る人気者に再会。観光客を気にせず手を合わせ、「大谷翔平を世界一の選手にしてください」と祈った。

 周囲の批判を覚悟してスタートさせた二刀流。「世界一の選手」が目標だけに褒めることは少なかった。この日も「“ありがとう”と言うのは20年早いよ。ここから嫌なことを言う係になる。翔平にも言った。“俺からのラインはイラッとするぞ”ってね」と言った。5年の時を経ても、そしてこれからも親子のような関係は続く。 (山田 忠範)

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