阪神が“とにかく打てる”ロサリオを獲得したワケ

[ 2017年12月19日 09:30 ]

阪神のロサリオ
Photo By 提供写真

 阪神は今オフ、来季4番候補としてロサリオの獲得に成功した。メジャー通算71本塁打の実績を誇り、KBO(韓国野球委員会)でも2年連続で30本塁打、100打点以上をマーク。久しぶりの大物助っ人の加入を受け、来季へ向けた期待は高まるばかりだ。

 ここ2年、助っ人には泣かされた。昨季のヘイグ(31試合、打率・231、2本塁打、11打点)、今季のキャンベル(21試合、打率・191、1本塁打、5打点)は揃って期待外れに終わった。今季途中に補強したロジャース(40試合、打率・252、5本塁打、23打点)も、迫力に欠けた。金本監督が10月18日のオーナー報告後の会見で、思わず「(誤算は)外国人の打者ですかね」と、こぼしたほどだった。

 今オフのロサリオ獲得は、そんなヘイグ、キャンベルの失敗を取り返すべく球団が助っ人補強に本腰を入れた…という図式で受け取られがちだ。事実、私も知人から「なぜ阪神は最初からロサリオみたいな選手を獲らなかったのか」と聞かれたことがある。だが、その考え方は少し的外れだと思う。

 理由は明白だ。ヘイグ、キャンベル獲得時と今オフでは、チーム状況が違うからだ。ヘイグ獲得時の15年オフは先にゴメスの残留が決まっており、球団はターゲットを三塁手に絞って新助っ人を探した。そしてキャンベル獲得時の16年オフも、シーズン途中から三塁起用された鳥谷が不振だったこと、一塁手候補の原口が台頭したことを理由に、再び三塁手に絞って獲得に動いた。だが三塁を守れる強打者はメジャーでも人材不足の状況で、阪神がリストアップした選手の大半は所属球団が保有権を手放してくれなかった。そこでマギー獲得戦線に途中参戦したが、出遅れを取り戻せず。理想は長距離が打てる三塁手だったが、中距離打者のヘイグ、キャンベルを獲得するしか手がなかったというわけだ。

 だが今オフは違う。三塁には鳥谷が健在。外野も福留、糸井、高山、中谷と層が厚い。だから球団は早くからポジションを問うことなく「本塁打が打てる選手」に照準を絞り、獲得調査を進めることができた。その結果、ロサリオを最終リストアップし、契約にこぎ着けたというわけだ。

 球団幹部は「打てる三塁手というのはメジャーでも、なかなかいないのが実情です。そういう選手は、なかなか市場に出てきませんから苦労しました」と過去2年を振り返った上で、「ポジション度外視…ということなら3Aでも打つだけの選手は何人かいます。今年はとにかく打てる選手を…ということで、ロサリオになりましたが、昨年、一昨年も三塁手に絞らなければ、ある程度、長打力のある選手を獲ることはできたと思っています」と話した。チーム状況の違いが、「阪神ロサリオ」を生み出すきっかけとなったというわけだ。外国人補強は、本当に難しい。

 前回、守備を度外視して獲得したゴメスは加入1年目から打率・283、26本塁打、109打点で打点王を獲得し、チームを前年の5位から2位に押し上げる原動力となった。来季は、そのゴメスと同タイプで1ランクも2ランクも格上のロサリオが加入する。今季2位からの躍進の予感に、今から胸が躍る。(記者コラム・惟任 貴信)

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2017年12月19日のニュース