「リクエスト」制度の導入 初適用の想定記事を書いてみた

[ 2017年12月4日 09:45 ]

西武・辻監督(右)
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 来季から日本版チャレンジである「リクエスト」の制度が導入される。今後は1月下旬の監督会議、春季キャンプなどでチームに改めて説明され、オープン戦での試験導入を経て公式戦へ。いざ「初適用」となれば大きな話題となるだろう。そんな18年4月某日、ある試合で初めて「リクエスト」が行われたと想定して記事を書いてみた。

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 その瞬間、ベンチを出た西武・辻監督は両手で四角を作った。「モニター」を意味する、監督だけに認められているリクエスト要求のポーズだ。「迷っている時間はなかった。間違いないと思っていったよ」。これを受けて、審判団がすぐさまリプレー検証に入った。今季から導入されたリクエスト制度。昨季までは審判団の判断で検証していたものを、監督が要求することが可能になった。その初適用の場面は7回2死三塁だった。

 3―3の同点。秋山の打球は一、二塁間への詰まったゴロだった。一塁手のソフトバンク・内川が捕って、ベースカバーに入った嘉弥真へトス。これが打者走者の秋山との競争になった。微妙なタイミングも判定はアウト。これに辻監督が即座に反応した。昨季までなら一塁ベース上でのアウト、セーフの判定はリプレー検証の適用外。結果がセーフにひっくり返れば、貴重な勝ち越し点をゲットできる。9回までに最大で2度使えるリクエスト。当然のようにカードを切った。

 検証時間は5分以内。その間にセンターの大型ビジョンには、秋山と嘉弥真が一塁ベースめがけて走るプレーの映像が何度も流された。「アウトか」「どっちだ」。ファンもざわめきながら結果を待った。結果は「セーフ」。球審が両手を左右に広げると、スタンドはどよめきと歓声に包まれた。リクエスト成功。西武側は、さらに2度の権利を保有したまま試合を進められることに。そして、最終的にはこの1点が決勝点となった。

 「(12球団で)初適用なのはもちろん知っていた。大きな1点。“涙のリクエスト”にならなくて良かったよ」。最後のコイン、ならぬリプレーに祈りを込めたリクエスト。辻監督は笑顔で振り返った。(あくまで想像です)

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 と、きっとこんな感じになるはず。9回までの2度の機会をどう使うかも戦略的に重要。試合の流れを大きく左右するであろう新制度は、各球団の監督にとって采配と同様に腕の見せ所となる。(鈴木 勝巳)

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2017年12月4日のニュース