阪神・大山 遊撃本腰 金本監督「任しといて」ポスト大和育成へ

[ 2017年12月1日 05:30 ]

11月の秋季キャンプで遊撃の守備に挑戦を始めた大山
Photo By スポニチ

 国内フリーエージェント(FA)権を行使して去就を注目されていた阪神・大和内野手(30)の退団が30日に決まった。DeNAから獲得発表があり、慰留は叶わなかった。来季の正遊撃手の最有力とみられていた名手の流出。今秋から遊撃挑戦を始めた大山悠輔内野手(22)ら若手へ向けられる期待が一段と高まった。

 願いは届かず、大和が選んだのはDeNAだった。選手会納会があった29日深夜、1日付で球団本部長に就く谷本修常務のもとに「悩んだ末、他球団にお世話になることに決めました」と連絡が入った。球界屈指の守備力の流出。「皆さんご存じの通り守備をはじめ、球界でも貴重な選手です。非常に残念ではありますが…」と惜しみ、「熟考して決めたことですので、新天地で頑張ってほしい」と送り出した。

 悔やんでいる時間はない。大和の決断を聞いてすぐに金本監督に電話を入れた。「ポスト大和、頼みますよ」と。「任しといてくれ、と。それに近い(言葉があった)。腹を決めて鍛えてくれると思います」。就任2年間で着実に若手を成長させてきた手腕に期待を膨らませた。

 “ポスト大和”の一人が大山だ。今季は一塁で最多の27試合、次いで左翼で14試合、三塁で10試合に先発。今秋キャンプでは今季1試合だけだった二塁を主に練習した。来季を見据えた布陣で三塁には鳥谷がいて、一塁では新外国人打者の獲得を進めている背景があったからだ。発展させる形で第3クールの11月13日からは2軍で1試合だけ経験した遊撃に本格挑戦。来春も本腰を入れた練習継続を見込まれ、本人も「やるからにはものにしたい」と意欲を示していた。

 もととも大山に二塁案が持ち上がったのは一塁守備で見せたグラブさばきのうまさと地肩の強さがあったからで、この適性は遊撃にも合致。甲子園球場を訪れていた久慈内野守備走塁コーチは大山が遊撃の定位置を奪い取る可能性を「なくはない」と認め、「1人ライバルが減ったと思えばいい。大和がいなくなったことを喜んでいいと思う。二遊間は白紙。みんなにチャンスはある」と競争激化を歓迎した。

 新人ながら7本塁打を記録し、キャンプでも長打力を存分にアピール。守備重視の傾向が強い遊撃で大和とは違う新スタイルを築き上げる可能性を持った大器だ。他にも実績のある西岡や今季遊撃を守った糸原、北條、植田、ドラフト3位の熊谷らも候補。大和流出の痛手を埋める白熱の争いに注目だ。(巻木 周平)

続きを表示

この記事のフォト

2017年12月1日のニュース