大谷の発言から考える、移籍に最適な球団とは?

[ 2017年11月27日 10:40 ]

26日に行われた日本ハムのファンフェスティバルで、スタンドを見つめる大谷
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 日本ハム・大谷が、ポスティングシステムを利用してメジャーへ挑戦する。米メディアではヤンキース入りを本命視する声が多いが、確たる根拠は示されていない。日本選手の獲得実績、常勝軍団の歴史と伝統、大都市ならではの便利さ、くらいだろうか。決定的に欠けているのは「大谷が何を重視するか」である。

 今月25日、ネズ・バレロ代理人が30球団あてに7項目の質問を設け、日本語と英語で回答するよう要請したことが判明。一方で大谷自身は、11日のメジャー挑戦表明会見で二刀流継続への意欲とともに、こう口にしていた。

 「自分としては、まだまだ足りない部分の方が多い選手だとは思う。自分をもっと磨きたいというか、そういう環境に身を置きたいと思っているので、そこに適している球団に行きたい」

 ヤンキースは野球をする上での環境面では申し分ない。しかし、大きなネックとなりうるのが、毎年ワールドシリーズ制覇が至上目標となる球団の立場。早期に結果が伴わない場合、二刀流の起用方針や育成プランの制限につながる可能性がある。例えば、投手で結果が出ていても野手で不調な場合な投手に専念、両方が不調な場合は片方に専念を、余儀なくされるかもしれない。

 記者が個人的に面白いと考えるのはレイズだ。過去10シーズンで起用された先発投手は合計30人で、30球団最少。この数字が示すのは、腰を据えて選手を育成する方針と、故障を最小限に抑えるバックアップ態勢を兼ね備えているということである。レイズは「スモール・バジェット(低予算)」の球団で有名だが、先発30人で戦った10シーズンでプレーオフ進出が4回。最激戦区と呼ばれるア・リーグ東地区で健闘している。昨年は先発投手全体の奪三振数(887)と9イニングあたりの奪三振率(8・68)がリーグトップだった。

 ちなみにヤンキースは同じ10年間で46人の先発投手を起用。ただ、30球団最多ではない。ヤンキースやレイズと同様、大谷の獲得に熱心なマリナーズとレンジャーズは同じ60人でレイズの2倍。今季ナ・リーグを制したドジャースは、さらに多い66人だった。もちろん、この数字だけでなく、レイズが今年6月のドラフト1巡目で投手兼一塁手のブレンダン・マッケイを獲得し、既に二刀流としての育成を始めているのも好材料だ。

 大谷は11日の会見で、日本ハムでの5年間を「迷うことなく進んでこられた。そういう環境に自分を持っていけたと思っている」と振り返った。まだ23歳。米国でも、潜在能力をさらに開花させる環境でプレーすることを願う。(記者コラム・大林 幹雄)

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2017年11月27日のニュース