今から楽しみ? 大物ルーキー清宮の起用法

[ 2017年11月14日 10:00 ]

日本ハムドラフト1位の早実・清宮
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 【宮入徹の記録の風景】高校通算111本塁打の早実・清宮幸太郎内野手(18)が日本ハムでプロとしてのキャリアをスタートさせる。10月26日のドラフト会議では高卒新人としては史上最多タイとなる7球団が清宮を指名。プロ側の評価の高さを証明した。これからの活躍については未知数だが、どんな成績を残すのか、ファンの期待は膨らむばかりだ。

 しかし、高卒1年目からスラッガーとして力を発揮することは容易ではない。今季を例にとると、高卒新人野手で1軍デビューを果たしたのは広島・坂倉(捕手=3試合、打率・250、0本塁打、2打点)、DeNA・細川(外野手=2試合、打率・400、2本塁打、4打点)、オリックス・岡崎(内野手=5試合、打率・143、0本塁打、1打点)とわずか3人。本塁打を記録したのは細川だけだった。

 2リーグ制後、高卒新人の最多本塁打は86年西武・清原和博の31本。5本以上でも14年西武・森(6本)まで13人しかいない。さらに10本以上だと半数以下の6人に減ってしまう。最後に2桁に乗せたのは93年巨人・松井秀喜(11本)だから、もし清宮が来季クリアしたら25年ぶり7人目になる。10本以上の選手のポジションは最多本塁打の清原が一塁手。以下、27本の53年西鉄・豊田泰光が遊撃手、16本の55年毎日・榎本喜八が一塁手、13本の59年東映・張本勲が外野手、12本の52年西鉄・中西太が三塁手、松井が外野手となる。清宮と同じ一塁手は清原、榎本と歴代1、3位。清宮にとって心強いデータといえるだろう。

 それでも今季の日本ハムは中田が一塁手として126試合に出場。来季残留となれば、清宮がすぐにポジションを奪うとは考えづらい。ならば、指名打者(DH)ではどうか。そこで高卒新人のDH実績について調べてみた。DH制をパ・リーグが採用したのは75年。既に43シーズンが経過しており、リーグの制度として完全に定着している。さらに05年からセ・パ交流戦が始まり、パの主催試合ではセの打者もDHに座るようになった。

 高卒新人で最初にDHで出場したのは76年ロッテの内野手・水上善雄だ。同年6月24日の阪急戦(西宮)で先発指名打者の江藤慎一が7回に出塁すると代走として出場し、そのままDHに。ただし、打席には立っていない。その後、高卒新人のDHで打席を迎えたのは82年近鉄・金村義明、85年西武・大久保博元、86年日本ハム・田中幸雄、87年ロッテ・佐藤幸彦、90年ダイエー・脇坂浩二といたが安打は打てずじまい。91年ダイエー・内之倉隆志が10月10日西武戦で7回小田から放った中前安打が初めての記録となった。翌92年にはオリックス・イチロー(当時は鈴木一朗)が1年目にDHで2打数2安打と早くも非凡な才能を見せている。

 先日、大リーグ挑戦を表明した日本ハム・大谷は高卒ルーキーの13年にDHとして5試合に出場。だが、7打数無安打と結果を残せなかった。翌14年に西武の森が高卒新人DHで初めて本塁打をマーク。8月15日の日本ハム戦(西武ドーム)で2回メンドーサから右中間に運んだ。もしも清宮が来季DHで本塁打を打てば2リーグ制後の高卒新人では2人目になる。今季の日本ハムのDH本塁打は12本。パでは最も少なかった。個人別では大谷が8本、近藤、大田が各2本。当然ながら、来季の日本ハムに大谷はいない。清宮が大谷の後釜としてDHに座る。こんなシナリオを描けるのもオフの楽しみのひとつだ。(敬称略、専門委員)

 ◆宮入 徹(みやいり・とおる)1958年、東京都生まれ。同志社大卒。スポニチ入社以来、プロ野球記録担当一筋。94年から15年まで記録課長。本社制定の最優秀バッテリー賞の選考委員会には、第1回から27回連続で資料説明役として出席。

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