阪神・矢野2軍監督に聞く2 ブルペンでは「気持ち悪く」投げろ

[ 2017年11月12日 07:40 ]

阪神の矢野2軍監督
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 ――1軍作戦兼バッテリーコーチを2年間経験した。

 「すごく勉強になった。金本監督がどういう野球をしたいとか、こういう時はこういうふうにしてほしいんやな、とか。コーチ業って、自分ではもっとできると思っていた。でも1年目なんか正直、こんなにできへんのやな、オレ何ができるんかなとばかり思っていた。周りのコーチの経験値が高くて高代さんとか平田さん、何年もやっているから気付きが早い。オレが思った時にはもう選手に伝えているとか、周りの監督、コーチとかを見て勉強になった。自分は全然そういうことができていないな、と。2年目はちょっとは変われたかなとは思うけど。2軍監督をやらせてもらうけれど、この2年は大きかった」

 ――1軍で通用する選手を育てる。

 「1軍の試合で通用しないパターンはある。投手だとストライクが続いたら打たれる。ストライク、ボール、ストライク、ボールとかはあまり打たれない。打たれる投手は偏っている。ストライクが入りだしたら続くし、ボールになりだしたらボールが続く。良い投手は、ストライク取ったら際どいところを見せたり、誘ったりしながら抑えていく」

 ――(続けて…)

 「1軍で良いパフォーマンスを出すための練習が必要。投手だったらクイックは1秒25は切らないと。でもブルペンではその練習はあまりしない。気持ちよく投げるのではなく、気持ち悪く投げてほしい。ほとんどの投手が自分のフォームを固めてから1秒25に近づけていくクイックに取り組むが、逆の発想で1秒25を切っても良いボールを投げられるフォームを固めていってほしい」

 ――ブルペンでは良い球を投げるのに、試合で通用しないのはそういう理由か。

 「そのやり方の方が近いと思っている」

 ――けん制もクイックもフィールディングも、良い球を投げること以外にも学ぶことがたくさんある。それができないと1軍で勝てない。

 「結局、下から上に上がっても足りないことが多い。クイックできない、球のキレが落ちるではダメ。投球パターンのモーションが一緒で盗まれる…ではやはりね。そういうのもブルペンのときから気持ち悪くね、取り組ませたい」

 ――ファームでしっかりと学んでから1軍へ。

 「鳴尾浜できちんとできていないと、甲子園では絶対に焦る。クイックもやっていない。1軍の打者はレベルが高い。足の速い選手も多い…となれば、いつもの気持ち良い投球はできない。その辺りをオレらが意識付けしていかないといけない。良い投手はできている。下柳にしても、昔の星野伸之さんにしても、例えば左投手で三盗されやすいから首の動きを余計に動かしたり、普段からいろいろと取り組んでいた。カーブでも腕を振ったり、または抜いたりとか。勝てる人は“練習”と“試合”の差がない」 (聞き手・畑野 理之)

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