筒香、連勝弾!奇跡へ4番覚醒「日本一になって恩返ししたい」

[ 2017年11月3日 05:30 ]

SMBC日本シリーズ第5戦   DeNA5―4ソフトバンク ( 2017年11月2日    横浜 )

4回2死二塁、筒香(左)が逆転2ランを放ち、ロペスと喜びあう
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 DeNAの筒香嘉智外野手(25)がソフトバンク戦の4回に今シリーズ初アーチ&初打点となる中越え逆転2ラン。再び逆転を許した6回にも中堅へ適時二塁打し、この回3得点で試合をひっくり返す猛攻を呼び、5―4で勝利した。第1戦から3連敗したが2連勝。眠れる主砲がついに目を覚まし、奇跡の逆転日本一へ態勢は整った。

 勝ち越しのホームを踏んだ筒香は、両手を広げて仲間の待つベンチへと戻った。ようやく仕事ができた。主砲として、主将として。責任を背負いながら前を向いてきた男は、吠えた。2点を追う6回の鮮やかな再逆転劇を呼んだ。勝利を運ぶ打撃ができた。

 「全員で勝ち取った勝利だと思う。全員でつないで、つないで点を取った。本塁打よりうれしいです」

 1死一、二塁。左腕モイネロの甘く入ったチェンジアップをフルスイングし、打球は中堅フェンスに直撃し、二塁打となった。10月31日の第3戦では見逃し三振に倒れたが「打席で感じて、修正することもあった。イメージはあった」と筒香。1点差に迫り、観客は総立ち。劣勢の雰囲気が一変した。宮崎が中前同点打、なお一、三塁。三塁走者の筒香は嶺井の二ゴロ失策の間に勝ち越しの生還だ。

 前打席では、チームに勇気を与えるアーチをかけた。4回2死までバンデンハークに無安打。ロペスが初安打となる二塁打で出塁した初の好機。「絶対に打ってやるという気持ちだった」。153キロ直球を中堅左へと運ぶ2ラン。ここまで4試合でアーチも打点もなかったが、2安打3打点。覚醒した。

 昨オフから作り上げてきた打撃フォームを変えた。CSファイナルS第3戦まで10打数1安打。「広島で変えた」と雨天中止となった21、22日の2日間で右足を上げる高さを低くし、確実性を上げるため、すり足に近くした。とにかくチームに貢献したいとの一心だった。そこから2戦で3本塁打してチームをCS突破に導いた。今シリーズは4戦目まで結果は出なかったが、心はぶれなかった。

 先月28日。ヤフオクドームのグラウンドに立ったとき、1年前の自分を思い出した。CSファイナルSで広島に敗れ、横浜に戻るとすぐに2軍施設で練習を再開した。日本シリーズは「一回も見ていない」と言う。少年時代を含めて日本シリーズの思い出は「特にない」。最高峰の舞台は、自分たちの力で得るものと信じ努力を重ねてきた。

 3連敗からの2連勝は、89年の巨人以来。その時の巨人は逆転で日本一となった。

 「ファンの皆さんが1年間声援を送ってくれた。日本一になって恩返しがしたい」

 奇跡の逆転優勝を成し遂げる。主砲は決意を胸に、敵地・福岡へと乗り込む。 (中村 文香)

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2017年11月3日のニュース