【中畑清氏 シリーズ大分析1】ムード変える「9回・ヤスアキ」見たかった

[ 2017年11月1日 08:30 ]

SMBC日本シリーズ2017第3戦   DeNA2―3ソフトバンク ( 2017年10月31日    横浜 )

<D・ソ>6回2死満塁、ヘッドスライディングで二塁適時内野安打の倉本(左)
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 ムードを変える「ヤスアキ・ジャンプ」が欲しかった。前DeNA監督で、スポニチ本紙評論家の中畑清氏(63)は、9回に1点ビハインドの展開でも守護神・山崎康を投入すべきだったと指摘した。自身も現役時代に89年の日本シリーズで3連敗から4連勝での逆転Vを経験。柴田、倉本の12球の粘りなど、執念は見せた。あとは、風向きを変えるきっかけが必要と語った。

 DeNAは土俵際に追い込まれた。あと1点が届かない。やっぱり相手は王者。力の差はある。それでも6回に柴田、倉本が見せてくれた泥くさくて必死な姿は、絶対に第4戦につながるはずだ。

 2人とも12球も粘った。柴田は1死二、三塁で左キラーの嘉弥真に対して、1ボール1ストライクから3球目の外角スライダーを中途半端な空振り。それを見て「厳しいな」と思ったけれど、そこから直球、スライダーをことごとくファウルにした。最後は四球。2死満塁では倉本も6球連続ファウルで粘り、11球目は高めの148キロ直球にバットが止まった。普通なら振ってしまう1球。集中力と執念で、一塁ヘッドスライディングでの内野安打で1点をもぎ取った。諦めない、食らいつく姿勢に感動した。

 崖っ縁からはい上がるには、何かきっかけが欲しい。この日で言えば、8回の井納に続いて9回は山崎康を投入してほしかった。1点ビハインドとはいえ、27日ぶりに戻ってきた本拠地。ここまでシリーズで登板のない守護神がマウンドに上がれば、スタンドはヤスアキ(康晃)コール&ジャンプで盛り上がったはずだ。ムードも一気に高まる。そんな雰囲気こそが、勝負の世界では選手の背中を押してくれる。横浜ではあと2試合。地の利を存分に生かしてもらいたい。

 私も巨人時代の89年、近鉄との日本シリーズで3連敗から4連勝したことがある。必死にやっても勝ち試合がつくれないのは、当時と似ているかもしれない。一つ勝てば、変わる。きっかけさえあれば、風向きはガラッと変わる。

 ▽89年の日本シリーズ 近鉄と対戦した巨人は初戦から3連敗。しかし、崖っ縁の第4戦で、香田が3安打完封勝利。続く第5戦は先発の斎藤が先制こそ許すも、1失点完投勝利で続く。藤井寺球場に移った第6戦は、0―1の5回に篠塚の逆転適時打が決勝打となって3勝3敗に持ち込むと、第7戦は本塁打4発で打ち合いを制した。現役最終試合となった中畑も6回にソロ本塁打を放った。

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