沢村賞初選出の菅野 来季は「全項目クリア」で連続受賞目指す

[ 2017年10月31日 05:30 ]

「沢村賞」と書かれたボールを手に笑顔の菅野
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 「沢村賞」の選考委員会(堀内恒夫委員長)が30日に東京都内で開かれ、セ・リーグの最多勝と最優秀防御率に輝いた巨人・菅野智之投手(28)が初選出された。選考基準7項目のうち5項目を上回り、球団では02年の上原以来15年ぶりの受賞。来季からは7項目に沢村賞独自のクオリティースタート(QS)率が選考基準に補足的に加わる。全項目クリアでの連続受賞を目指す。

 今季の目標を「頂」と掲げてから1年。有言実行の菅野は、初受賞の喜びに浸った。

 「ピッチャーとして最高の名誉。本当に誇りに思いますし、言葉で表せないくらい感動しています」

 会見ではさらに、視野の広い野球観がにじみ出た。来季から選考基準に「QS率」が補足的に加わることを「日本のプロ野球に浸透するのはいいこと」と歓迎。3月のWBCでは世界と戦い、普段からメジャーの試合もチェックする。「(本来のQSは)6回(以上)自責点3(以下)なので、僕はもっと高いレベルで(QSの)価値観を上げたい」と高次元の発言をした。

 沢村賞独自の基準となるQSは「7回以上、自責点3以下」。菅野は今季、登板25試合のうち76%の19試合でクリアした。メジャーでQSを上回る指標として一般的な「ハイクオリティースタート」(HQS=7回以上、自責点2以下)も、菅野は18試合達成。「先発の役割は、長い回を最少失点で投げることが一番」と話し、全試合でハイクオリティースタート、その先の完投を目指すことになる。

 候補には西武・菊池も挙がった。DH制で強打者の並ぶパ・リーグで最多勝、最優秀防御率の2冠を達成。菅野は「あの中で結果を出したのは素直に凄い」と称えながらも「僕たちは代打を送られる分、イニングを伸ばすのは難しくなる」とプライドをのぞかせる。

 今季は6完投。選考基準7項目で、完投と投球回だけが届かなかった。「10完投、200イニングだけ達成できなかったので、全項目クリアしたい。達成した項目も全て上回ることを目指す」。先発完投型の「本格派」を突き詰める。 (神田 佑)

 ▽沢村賞 プロ野球史上初の無安打無得点試合を達成した伝説の大投手、故沢村栄治氏(巨人)を記念し1947年に制定。シーズンで最も優れた先発完投型の投手に贈られる賞で、2リーグ分立の50年からはセ・リーグの所属投手だけが選考対象となり、89年から両リーグに拡大。選考基準は(1)15勝以上の勝利数(2)150奪三振以上(3)10以上の完投試合数(4)防御率2.50以下(5)200投球回以上(6)登板25試合以上(7)6割以上の勝率、の7項目。チームの勝利への貢献度、連勝連敗、プロとしての品格なども選考に加味される。受賞者には金杯と副賞300万円が贈られる。

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