ソフトB今宮 リプレー逆転“神の指先”「入った感触はあった」

[ 2017年10月30日 05:30 ]

SMBC日本シリーズ2017第2戦   ソフトバンク4―3DeNA ( 2017年10月29日    ヤフオクドーム )

<ソ・D>7回2死満塁、中村晃の右前打で二走・今宮が逆転の生還。捕手・戸柱
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 ソフトバンクが4―3でDeNAを下して2連勝した。7回に1点差に迫り、なお2死満塁から中村晃外野手(27)が右前打。二塁走者の今宮健太内野手(26)の本塁へのヘッドスライディングは、クロスプレーとなったが、リプレー検証の結果、当初のアウトからセーフに判定が覆り、決勝点となった。神走塁で紙一重の試合を制し、31日の第3戦の舞台・横浜に勢いをつけて乗り込む。

 途方もなく長い7分だった。ヤフオクドームも静かに待った。午後9時59分、リプレー検証の結果は「セーフとします!」。審判団の判断が伝えられた瞬間、ベンチ、球場から爆発的などよめきが起こった。一度はアウトとコールされ、土まみれのユニホームで大の字になった今宮の苦笑いは最高の笑顔に変わっていた。

 「かわそうと思ったらタッチされていた。真っすぐに行ったのはよかった。タッチは腕だった。(指先が)入った感触はあった」

 戸柱のミットと今宮の左手の指先。その空間は数センチだった。2―3の7回2死満塁、中村晃の打球が右前へ。前進守備の右翼・梶谷が捕球した時点ではまだ、三塁を回ってはいなかった。右翼手が強肩・梶谷であることを考え「無理や」と半ば諦めた。だからこそ「飛ぶイメージだった」と足ではなく、セーフの可能性がわずかに高まる頭からを選択した。王貞治球団会長も「ゴッドハンドだね。アウトに見えたけど、ちゃんと見たら下に入ってたね」とうなった。

 助演男優賞は三塁コーチの村松外野守備走塁コーチだ。「送球がベースに来ていればアウトだったと思う」と振り返る。ただ、試合前、梶谷がシートノックに不在だったのを見た。イニング間のキャッチボールも不自然だった。故障かどうかは確信はなかったが「少しでもそれればいい勝負」と腕を回した。送球は一塁側へそれた。観察眼が「神の指先」の奇跡を演出した。

 「手が先に入った」という先に生還していた柳田に促されるように工藤監督も抗議の声を上げた。3回2死一、二塁で求めた松田の左翼ポール際の打球は判定通りファウルだったが、開幕前の監督会議でもベンチの要請があれば積極的にリプレー検証に応じるよう求めた。その執念が実った形だ。

 2連勝で敵地・横浜へ乗り込む工藤監督は「今宮君の素晴らしいヘッドスライディングが勝利を呼んだ。気持ちで勝ち取ったセーフだった」と称えた。

 まさに紙一重。「めっちゃうれしかった。終盤だったし、1点勝ち越せば鉄壁のリリーフがいると思った」と今宮。シーズンも94勝を積み上げた。その強さを支えるのは、仲間への信頼と、走攻守へのこだわりである。 (福浦 健太郎)

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