日本ハム 清宮指名までの舞台裏…面談不参加は「自信」の表れ

[ 2017年10月29日 11:30 ]

27日、ドラフト1位の清宮に指名あいさつに訪れた日本ハムの(左から)大渕隆スカウト部長、栗山英樹監督、岩舘学スカウト
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 日本ハムが最大の目玉・早実の清宮を引き当てた今ドラフト。スカウト活動の総決算とも言えるドラフトまでの、清宮獲得へ向けた活動の一端を紹介したい。

 日本ハムはカナダで行われたU―18W杯には、12球団最多の4人態勢で視察に訪れた。スカウトがチェックするのは試合や練習だけでなく、練習の合間に見せる仕草などにも及ぶ。大渕隆スカウト部長は、あいさつを受けた清宮がどのように反応するかの性格面までチェックしていた。さらに観戦に訪れていた母・幸世さんの方にも目を向けることもあった。

 岩舘学スカウトは、担当スカウトとして密着してきた眼力の一端を披露した。U―18W杯のスーパーラウンド第2戦・カナダ戦。ネット裏で記者は岩舘スカウトとともに試合を観戦していると、清宮の好不調のチェックポイントを解説してくれた。「真後ろから見て右肩が少し見えているときがいい状態の時。右肩が入りすぎているとよくないけど、今日は右肩がいい位置に入っている」。その予言は的中し、次の打席で中越えへ高校通算111号本塁打が飛び出した。

 10月2日には広陵・中村の1位指名を公言した広島とともに、清宮のドラフト指名が濃厚とされながらも面談を回避。面談不参加の理由を大渕スカウト部長は「面談をしないと指名できないならするけど、指名してからが交渉なので必要ないと思った」と説明した。その理由は清宮側と「もともとパイプがあった」ということ。栗山監督、大渕スカウト部長はトップリーグ・ヤマハ発動機監督の父・克幸さんと面識があり、大渕スカウト部長と早実・和泉監督は早大の先輩・後輩の間柄。「普段の会話の中で(球団が)どういうことをやっているのかは伝わっている」と各球団が面談で説明した育成方針や設備面は既に理解してもらっている自信をのぞかせた。

 とどめは指名あいさつの時の手土産。岩舘スカウトが清宮の好物が柿とリサーチ済みで、百貨店で購入したものを手渡した。野球の能力は高く評価していたものの、本人の人柄、家族までチェックを行った上で間違いないと指名に踏み切り、そのスカウト陣の思いを背負った木田優夫GM補佐が「交渉権確定」の当たりくじを引き当てた。栗山監督は「俺の中ではいろいろなことを考えている」と早くも育成プランを思い描く。今後、どのように高校No.1スラッガーを育成していくか見守りたい。(記者コラム・東尾 洋樹)

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2017年10月29日のニュース