ロッテ2位の藤岡 トラウマあった「どこからも指名されないんじゃないか…と」

[ 2017年10月26日 21:24 ]

女性社員から花束を受け取り、笑顔を見せるロッテ2位指名の藤岡
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 ようやく憧れた世界の入り口まで、たどり着いた。ロッテから2位指名を受けた藤岡裕大内野手(トヨタ自動車)は「今はホッとしたというのが率直な感想です。どこからも指名されないんじゃないか…という思いもあったので」と安堵の笑みを見せた。

 ドラフト会議には「トラウマがある」と言う。亜大4年時の2015年。東都大学リーグ史上23人目となる通算100安打を達成し、ドラフト指名候補と目されていたが、ふたを開けてみれば、まさかの指名漏れ。悲嘆の涙に暮れ、当日は一睡もできなかった。

 野球に対する情熱が薄れかけた。だが心だけは折れなかった。「悔しい気持ちはあった。ただ自分に足りなかった部分がいろいろあるんだと。社会人で2年間頑張って、プロを目指そうと思った」。悔しさを忘れないよう、今年からグラブに2年前の会議の日付け「10・22」と縫い付けた。トヨタ自動車・桑原大輔監督は言う。「入ってきた時は源田(西武)がいたので、自分から外野をさせてくれと言ってきた。源田が抜けた後は誰よりも意識高く、ショートの練習を必死にやっていた。野球に取り組む姿勢が素晴らしかった」。ひたむきな努力は実を結んだ。

 仲間達の存在も支えとなった。岡山理大付、亜大とともに1学年先輩にあたる広島・薮田からは事あるごとに気に掛けてもらい、高校の同級生、DeNA・柴田とは予定が合えば、食事に連れ立つ。チームの日本シリーズ進出に貢献しただけに「柴田にはどんどん、離されて行っている気がします」と苦笑いだが、もちろんライバル意識は高い。「僕はここからがスタート。追いつけ、追い越せで行きたい。まずは開幕スタメン。一日一日を積み重ねて、源田さんのような新人王候補になれれば」と力強く抱負を語った。

 たどってきた道のりは決して遠回りではなかった。「お金を払って応援してくれる人がいる。その人に“何だ今日は”と思われるプレーはしたくない。社会人に行って、お金をもらうことに対して、今まで以上に感謝の気持ちを持つようになりました」。プレーヤーとしてだけでなく、人間としても一回り、成長した。「たくさん連絡も来るでしょうし、恩師や友達、両親にもしっかりと連絡を入れて…」。あれから2年。17年のドラフト会議当日も眠れない1日となる。

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2017年10月26日のニュース