7球団以上が競合?注目したい「清宮じゃない」選択

[ 2017年10月24日 09:30 ]

ドラフト1位候補の(左から)広陵・中村、履正社・安田、JR東日本・田嶋、立命大・東
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 パ・リーグCSファイナルステージでソフトバンクを苦しめた楽天のベンチで、与田剛投手コーチが投手陣の手綱を握っていた。2位躍進の西武の前ヘッドコーチで、今季はファームを指揮したのが潮崎哲也2軍監督。セ・リーグ連覇の広島の戦力を支えるファームには佐々岡真司投手コーチがいる。この3人、プロ入りは同じ年だった。野茂英雄(新日鉄堺→近鉄)に史上最多の8球団が競合した1989年ドラフトで、「野茂じゃない」選択をした球団から単独指名を受けた。

 1年目の90年からパのタイトルを総なめした野茂。張り合うようにセで新人王になったのが、NTT東京から中日入りして31セーブを挙げた与田だ。松下電器から西武入りした潮崎は個人タイトルの野茂に対し、チームタイトルであるリーグ優勝、日本一の両方で胴上げ投手に。NTT中国→広島の佐々岡は与田と新人王を争い、2年目の91年には優勝、MVPと満開の花を咲かせた。「野茂じゃない」選択のもう1人、慶大→巨人の大森剛こそ通算5本塁打と鳴かず飛ばずだったが、野茂の外れ1位も佐々木主浩(東北福祉大→大洋)らがいる空前の「当たり年」となった。

 次の90年ドラフトは亜大・小池秀郎に8球団が集結。ロッテ入団を拒否した小池のいないパで91年の新人王になったのが、オリックスに単独1位指名された長谷川滋利だ。「小池じゃない」単独指名は他に元木大介(浪人→巨人)、木村恵二(日本生命→ダイエー)、水尾嘉隆(福井工大→大洋)の顔ぶれだった。

 今年のドラフト会議が26日に迫ってきた。早実・清宮幸太郎には既に1位指名を公表した阪神とヤクルトのほか、ソフトバンクや日本ハムなどが集中する見通し。7球団かそれ以上の競合になるとも予想される。一方、広島は地元・広陵の中村奨成の指名を公表した。JR東日本・田嶋大樹や立命大・東克樹は即戦力左腕の呼び声高く、履正社・安田尚憲は高校生スラッガーとして清宮と双璧をなす。チーム強化の即効性なら大学や社会人選手で、3年続いたドラフト1位投手がCSでも活躍しているDeNAが好例。人気では「1強」気配のドラフトだからこそ、「清宮じゃない」選択に注目したい。(記者コラム・和田 裕司)

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2017年10月24日のニュース