ギータ電撃復帰で“点火”「奇跡です」“神の手”で痛み消えた

[ 2017年10月23日 05:30 ]

パCSファイナルステージ第5戦   ソフトバンク7―0楽天 ( 2017年10月22日    ヤフオクD )

4回2死二塁、右前適時打を放つ柳田
Photo By スポニチ

 ソフトバンクが楽天を7―0で下して2連敗から3連勝を飾り、リーグ優勝によるアドバンテージの1勝を加えて2年ぶり17度目の日本シリーズ進出を決めた。右脇腹痛の柳田悠岐外野手(29)が「1番・中堅」で戦列復帰し、2安打1打点で勝利に貢献した。28日に開幕する日本シリーズでは、広島とDeNAが争っているセCSファイナルステージの勝者と対戦する。

 電撃復帰した男が、速攻劇を決めた。初回、1番の柳田は美馬のスライダーを打ち返した。遊撃内野安打。さらに1死二塁からデスパイネの初球の暴投を見逃さず三塁に進み、内川の犠飛で生還した。打って走って、先制点をもたらした。

 「(ファイナルS出場は)絶対無理と思ったし打てんでもともとだと思って(打席に)立ったのが良かった。感覚は想像したより、ずれていなかった。久しぶりに野球ができて楽しかった」

 5点リードの4回2死二塁では藤平のフォークを捉え、右前適時打を放った。2日前にフリー打撃を再開したばかり。右脇腹を痛めた9月20日の日本ハム戦以来の実戦は完全なぶっつけだが約1カ月ぶりに見る投手のボールに対応した。代名詞のフルスイングは変わらなかった。

 今月に入っても走れず、歩くことしかできなかった。「お年寄りのリハビリはこんな感じですかね」と肩を落とし、日本シリーズの復帰さえ危ぶまれた。光が見えたのは数日前。わらにもすがる思いで訪れた福岡市内の治療院で施術を受けた。患部をつままれ、さすられた。それを繰り返した。4日間通うと、痛みが消えた。「奇跡です。神の手だった」。この日は痛み止めを飲んだものの、6回まで出場。2安打1打点で、連敗からの3連勝に大きく貢献した。

 前日に福岡県筑後市のファーム施設でフリー打撃後、工藤監督へ電話し「いけるか?」と聞かれ「はい」と即答。1軍復帰が決まった。指揮官は「結果の責任はベンチが取る」とスタメンで使った。主軸に置けば重圧がかかり、交代もしにくい。そこで1番に据えたが、打線に勢いをもたらすことに成功した指揮官は「よく打った。(打線に)いるだけで全然違う」と称えた。

 柳田は「思ったより普通に入れた。(球宴の)ホームラン競争の方が、緊張しますよ」と言い放ち、笑顔も戻った。初戦に敗れてからのファイナル突破はパ・リーグでは史上初めて。「突破確率0%」を覆し、リーグ王者の意地を見せた。最後にその中心にいたのは復活した男、柳田だった。 (福浦 健太郎)

 ◇柳田復帰までの経過 9月20日の日本ハム戦で2回の第1打席でファウルを打った際に右脇腹を痛めて途中交代した。翌21日に「右腹斜筋と肋間筋の損傷」で全治3週間の見込みと診断され、出場選手登録を抹消。同28日に追加の検査を受け「右第10肋軟骨損傷」と新たな診断が加わった。10月17日にようやく本格的な打撃練習を開始。20日にフリー打撃を再開した。

続きを表示

2017年10月23日のニュース