阪神 17年最大の誤算 生え抜き「いるべき男たち」の打撃不振

[ 2017年10月21日 11:04 ]

初回、無死、先頭打者初球本塁打を放つ高山
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 【金本阪神2年目の検証(3)】2017年の猛虎の最大の誤算だったかもしれない。2位躍進を果たした今季にあって打線に「いるべき男たち」の名がなかった。昨季『超変革』の旗の下、台頭した高山、北條、原口の3人だ。そろってレギュラーを奪えないどころか、2軍落ちを経験する伸び悩みの1年になった。

 なぜ、こうなったのか? 厳しい内角攻めが理由だとする声が多い。確かに一因ではあるだろうが、本人たちの思いは違った。高山は「技術面も、メンタル面も。打てていないということは、自分に足りない部分がある」と自戒し、北條は「去年のいい時と感覚が違う打席が多い。続けられないと意味がない」と自己分析。一塁に本格転向した原口は「一塁手だからもっと打たないといけない…と自分で思いすぎていたのかも」と過度な気負いを理由の一つに挙げた。共通して自分の実力不足を心底から痛感していた。

 福留を筆頭に頼もしいベテラン組、上本や俊介ら意地を見せた中堅組、投手陣の奮闘で昨季4位から2位へ浮上しても、どこか寂しさを感じながら声援を送っていたファンも多いのではないだろうか。さらなる飛躍を望まれていた3人の不振が原因だろう。

 一方、中谷、大山といった右の大砲候補が頭角を現した。7年目24歳の中谷は生え抜き右打者では06年浜中治(現2軍打撃コーチ)以来の20本塁打を記録。打率・241が示すように安定感に課題は残っても球団が長く待ちわびた大砲の素養を見せつけた。昨季4月には不調で2軍遠征にすら参加していなかったことを思えば、格段の飛躍だ。

 ドラフト1位・大山も大健闘した。育成方針から開幕は2軍で迎え、入念に準備を整えた。別メニューのウエートトレーニングに取り組むなど技術、体力面を徹底的に鍛え上げた結果、6月18日の初昇格後は一度も降格することなく、75試合出場で打率・237、7本塁打、38打点。数字以上に随所で大器ぶりを印象づけ、12試合で4番に座った。将来性を見込まれた1位指名ながら、1年目から1軍で通用する力を示した形となった。今オフには二遊間、外野を含めた複数ポジションに挑戦する方針だ。

 他球団とは比にならない注目度、重圧の大きさもあってか阪神では「若手が育たない」と言われてきた。ただ、リーグ優勝した03、05年には生え抜き打者が少なからず先発オーダーに名を連ねたことも事実だ。この5人を中心とした若虎のうち何人が真のレギュラーになれるか。猛虎の未来を左右すると言っていいだろう。(巻木 周平)

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2017年10月21日のニュース