ラスト試合後も語らなかった大谷 思い出す松坂の涙の決意表明

[ 2017年10月12日 09:30 ]

日本ハム・大谷
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 今オフにポスティングシステムを利用しメジャー挑戦の意思を固めている日本ハムの大谷翔平投手。9日の楽天戦が事実上の日本でのラスト試合で、試合後にはナインとともに、右翼席のファンにあいさつにしたが「頑張れ、頑張れ、大谷!」のコールにも、少し照れ笑いを浮かべたように見えただけで、足早にベンチに戻った。

 そして、メジャー挑戦への思いも表明することはなかった。試合直後に個人的なことを話すことは、今年1年間戦ったチーム、そして相手の楽天にも失礼と考えたのだろうか。そこは本人しか分からない考えがあってのことだろう。

 ただ、それだけ感情を表さなかった大谷を見て、思い出したことがある。松坂大輔投手(ソフトバンク)がメジャー移籍する06年11月のことだ。松坂は当時西武で、ファン感謝の集いで「日本代表として、西武ライオンズ代表として…頑張ります」と涙ながらに決意表明した。感動的なシーンだったが、松坂は代理人のスコット・ボラス氏に叱られたという。「僕がメジャーで投げたいという思いからポスティングシステムを活用したのですが、もちろん交渉次第で日本に帰るという選択肢を残しておかないと交渉にならないということでした」と数年前に話してくれた。

 現在23歳の大谷は海外選手獲得に関する25歳未満のルールが適用され、マイナー契約となる。ただ、交渉は年俸面だけではない。通訳、トレーナー、そして何より二刀流としての挑戦をどう球団として考えてくれるのか。野球に集中する環境をどう作り上げるかの「条件」は絶対に譲れない要素だろう。大リーグを長年取材する外国人記者の中にも「史上最大の球団数が獲得へ動くだろう」と予想している。代理人も大変な交渉が待っている。

 大谷の笑顔と本音が聞けるのはいつになるだろうか。笑顔で本音を語れる時が来ると信じて待ちたい。(記者コラム・倉橋 憲史)

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2017年10月12日のニュース