阪神・新井が引退会見「数字のけじめを取らないといけない」

[ 2017年10月12日 05:30 ]

引退会見で晴れ晴れとした表情をみせる新井良太
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 阪神・新井良太内野手(34)が11日、兵庫県西宮市内の球団事務所で引退会見を行った。現役ラストゲームとなった10日の中日戦では涙ぐむシーンもあったが、この日は涙なし。ファン、チームメートに対して何度も感謝の言葉をのべ中日5年、阪神7年の計12年間に及んだプロ野球人生に別れを告げた。

 スッキリとした表情で会見に臨んだ新井は「私、新井良太は今シーズンを持って引退させていただきます」と自ら切り出すと決断に至る経緯を明かした。

 「(6月から3カ月、2軍生活が続き)ファームで試合が終わったら“辞めようかな”と。でも、試合で打ったら“まだいけるんちゃうかな”と。ずっとその繰り返しでした。(決断に至ったのは)数字のけじめを取らないといけない、と」

 背水の陣で臨んだ今季。若手の台頭もあり出場は17試合にとどまり16打数1安打、打率・063、本塁打、打点はともになかった。

 真っ先に相談したのは「自分の一番の味方」と慕う実兄の広島・貴浩だった。思いを打ち明け、そのたびにアドバイスをもらった。それでも葛藤は続き「お前の人生だから、お前が決めたら良い」という兄の言葉に従い、最後は自分自身で大きな決断を下した。

 「付きっ切りで指導していただいた。片岡さんと出会えたことに感謝したいです」

 転機は11年秋季キャンプだった。片岡コーチのもと、打撃フォームを改造。死にものぐるいでバットを振り込んだことが、翌年以降の1軍定着、4番起用へとつながった。

 豪快なフルスイングで虎党を魅了する一方、チームの誰からも愛された。10日の中日戦終了後にあった安藤の引退セレモニーでは、福留、鳥谷らの計らいで胴上げまでしてもらった。「こんなに良くしてもらっていいのか?という7年間でした」。クラブハウスへ戻ると、片岡コーチから「よく頑張った。良い最後を見せてもらった」と労いの言葉をかけられた。恩人に見守られユニホームを脱ぐ。最高の野球人生だった。(森田 尚忠)

 ◆新井 良太(あらい・りょうた)1983年(昭58)8月16日生まれ、広島県出身の34歳。広陵、駒大を経て05年大学生・社会人ドラフト4巡目で中日に入団。10年オフにトレードで阪神に移籍。12、13年にかけて計54試合で4番を打った。実兄の貴浩(現広島)とは14年まで4年間同僚としてプレーし、3度の兄弟アベック弾。1メートル88、99キロ。右投げ右打ち。

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