阪神・新井良 引退へ 広島で活躍中の兄・貴浩より先に…

[ 2017年10月10日 05:30 ]

阪神の新井良
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 阪神・新井良太内野手(34)が今季限りで現役を引退することが9日、分かった。レギュラーシーズン最終戦となる、10日の中日戦(甲子園)が最後の一戦となる。11日にも記者会見を行い、自らの言葉で決意を明かす。

 豪快なフルスイングで虎党を魅了した新井が、静かにバットを置く。9月27日に今季3度目の昇格を果たしたが、シーズン最終戦を前に今季限りでの現役引退を決断。10日に甲子園である中日戦で、ファンに別れを告げることとなった。

 広陵から駒大を経て、05年の大学・社会人ドラフト4巡目で中日に入団。7歳上の実兄・貴浩(当時広島)とともに、プロ野球選手となった。中日に在籍した5年間はわずか1本塁打と苦しんだが、10年オフに水田との交換トレードで阪神へ移籍。14年までの4年間は「新井兄弟」としても、注目を集めた。

 野球人生において、大きな転機となったのは11年の秋季安芸キャンプだった。片岡打撃コーチによる熱血指導のもと、打撃フォームを改造。キャンプ中の猛練習で下地をつくりあげると、オフ期間中も鍛錬を続け12年のシーズンに臨んだ。

 やがて、持ち前の長打力が開花する。開幕1軍を果たしてスタメン出場の機会を増やすと、8月9日の巨人戦からは4番に抜てき。シーズン最終盤まで4番を務め、同年は110試合に出場し打率・280、11本塁打、32打点をマークした。

 翌13年のヤクルトとの開幕戦でも4番を任されるなど、チームの中心選手になるまでの成長を遂げた。ただ、16年以降は出場機会が減少。同じ右打者である若手の原口、北條、大山らの台頭もあり、今季の1軍出場は16試合にとどまった。

 必然的にファームで過ごす時間が多くなったが、野球に対する真摯(しんし)な姿勢は少しも変わらなかった。練習中には常に大きな声を張り上げ雰囲気を盛り上げ、無心でバットを振り続けた。広陵、駒大という名門校でキャプテンを務めたほどの人間性は、誰もが認めるところ。先輩からはかわいがられ、同僚、後輩からは慕われた。

 引退後の進路は未定。ただ、自身の現役最終戦が古巣との一戦になったのも、何かの縁だろう。常にベストを尽くし、全力で駆け抜けた12年。その雄姿は多くのプロ野球ファンの脳裏に、確かに刻まれた。

 ◆新井 良太(あらい・りょうた)1983年(昭58)8月16日生まれ、広島県出身の34歳。広陵、駒大を経て05年大学生・社会人ドラフト4巡目で中日に入団。10年オフにトレードで阪神に移籍。12、13年にかけて計54試合で4番を打った。実兄の貴浩(現広島)とは14年まで4年間同僚としてプレーし、3度の兄弟アベック弾。1メートル88、99キロ。右投げ右打ち。

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