投手交代に迷い…巨人ブルペンとベンチの連携不足 「出番読めない」中継ぎ陣は困惑

[ 2017年10月5日 10:30 ]

前半戦には尾花コーチ(左端)が投手交代機を迷う場面が見られた
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 【屈辱巨人の真相1】06年以来11年ぶりのBクラスに終わった巨人。5月から6月にかけて球団ワースト記録の13連敗を喫するなど前半戦の低迷が最後まで響いたシーズンだった。敗因はどこにあったのか。「屈辱巨人の真相」と題し、3回にわたって掲載する。

 追い上げられた展開の試合中だった。高橋監督が村田ヘッドコーチらと、継投策について話し合いを始めた。ベンチにいた尾花投手コーチは「カミネロはブルペンで投げてみないと、起用できるか分からない」とあいまいな形で答えた。

 それでは9回を逆算しての継投プランが立たない。セットアッパーのマシソンに回またぎで最後まで投げさせるのか。他の投手を挟むのか…。結局はカミネロが登板し僅差で逃げ切ったが、バタついた。開幕から約1カ月が経過した、春先のある試合での一幕だった。

 カミネロは前日、発熱による体調不良を訴え、試合中に帰宅していた。当日は通常の練習をこなし、ベンチに入った。誰もが9回のマウンドに立てる状態だと確信していた。登板が可能か分からない状況であれば、1試合限定で他の投手をクローザーで起用するなど、選手とコミュニケーションを図った上で手を打つべきだった。これは一例にすぎないが、あいまいさが局面の判断を鈍らせる要因の一つにもなった。

 前半戦は投手交代機を尾花コーチが迷う場面も多く、ブルペンでは突然、電話が鳴ることも増えた。中継ぎ投手からは「いつ出番が来るか読めないことがあった」と困惑の声も上がった。前半戦は16度の逆転負け。13連敗中には5度もあった。開幕前に沢村が右肩を痛め、勝ちパターンでマシソン、カミネロにつなぐ「7回の男」の不在も大きかったが、背景には、ブルペンとベンチの連携ミスもあった。

 先発陣では菅野、マイコラス、田口の3本柱で27の貯金をつくったが、4枚目以降を固定できなかった。後半戦に1軍昇格したルーキー・畠が6勝を挙げたが、トレードで移籍した吉川光とFA補強の山口俊はともに1勝止まりだった。

 後半戦から斎藤2軍監督が1軍投手コーチに配置転換されベンチ担当、尾花コーチがブルペン担当に回った。風向きは変わり逆転負けは6試合にとどまった。チーム防御率はリーグトップの3.31。それでも、前半戦で繰り返した手痛い逆転負けは、取り返せなかった。首脳陣と選手の間の微妙なズレは、CS進出を逃す結果へとつながった。 (巨人取材班)

 ≪12球団最下位ホールド「57」≫今季リーグトップの防御率3.31をマークした巨人投手陣だが、中継ぎに限れば3.89までダウン。ホールドも57しかなく、ヤクルトの85を下回る両リーグ最少。チームでは06年の62を下回るワースト記録と中継ぎの層の薄さは深刻だった。個人別のホールド数を見ると、マシソンがセ5位の27Hを稼いだが、これに次ぐ西村はわずか10H。昨季19Hの山口鉄は3H、新加入の森福も昨季の16Hから6Hに激減。両左腕の不振もあり、マシソン、カミネロにつなぐ勝ちパターンが確立できなかった。

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2017年10月5日のニュース