レアードいとこが米銃乱射で犠牲 残り試合欠場 2年連続本塁打王は断念

[ 2017年10月4日 06:30 ]

札幌ドームをあとにするレアード
Photo By スポニチ

 日本ハムは3日、ブランドン・レアード内野手(30)が父方のいとこのクリスティーナ・ドゥアルテさん(22)が米ネバダ州ラスベガスで起きた銃乱射事件で犠牲となったため、4日に帰国すると発表した。この日朝に亡くなったことが分かったという。2年連続の本塁打王を目指していたが、突然の凶報により今季の出場を断念した。

 午後4時49分。札幌ドームでのロッカー整理を終えて家路に就いたレアードの目は真っ赤に腫れていた。報道陣に対応することはなかったが、その憔悴(しょうすい)しきった表情が悲しみの深さを物語っていた。

 母国で忌まわしき事件が発生したのは前日の2日。当日からクリスティーナさんの安否が不明で、レアードも「助けてください」と自身のSNSなどを通じて情報提供を求めていた。結局、一睡もできずに夜が明け、早朝に親族から訃報が入った。その後、札幌市内の自宅から球場へ。心身ともに試合に出場できる状態ではなく、出場選手登録抹消と帰国を申し出て、球団も了承した。「日本のお父さん」と表現するなど絶大な信頼を寄せている栗山監督からは「こんな状況なので家族を優先に考えてくれていい。来年、元気な姿で戻ってきてほしい」と声を掛けられた。

 異国で戦う助っ人にとって家族や親族の存在は大きなモチベーションだ。9月上旬にはいとこで6月のドラフトでホワイトソックスから、23巡目で指名されたマイキー・ドゥアルテ内野手(23)が旅行も兼ねて札幌を訪問。約1週間楽しい時間を過ごした。クリスティーナさんはマイキーの妹で、アリゾナ大を卒業して9月からNHLのロサンゼルス・キングスでファンサービスの仕事に就いたばかり。地元紙によれば、兄のガールフレンドと事件が起きたコンサート会場を訪れ、凶弾に襲われたという。

 レアードは来日2年目の昨季、39本塁打でタイトルを獲得し、リーグ優勝と日本一に貢献。チームが5位に低迷した今季も32本塁打でリーグトップのソフトバンク・デスパイネを3本差で追っていたが、この日も含めた残り4試合の出場を断念。4日に帰国の途に就き、自宅のあるアリゾナに一度戻った後、数日後に親族が住むロサンゼルスに移動する予定だ。

 今季は2年契約の1年目で来年2月に行われるアリゾナキャンプでチームに合流する。悲しすぎる事件で、いとこを亡くしたレアード。陽気な性格と本塁打を打った際に寿司を握るポーズでファンから絶大な人気を集める助っ人から笑顔が消えた。(山田 忠範)

 ▼ラスベガス銃乱射事件 1日午後10時(日本時間2日午後2時)ごろ、男が高級ホテル「マンダレイベイ」の32階から、道路を隔てた駐車場で開催中だった野外コンサート会場に向けて銃を乱射。少なくとも59人が死亡、527人以上が負傷した。会場は市の中心部にあり、2万人超の観客が参加していた。男は犯行後、ホテル内で自殺。米メディアは「米史上最悪の銃乱射事件」と伝えた。容疑者と過激派組織「イスラム国」(IS)などとの接点は確認されていない。2日午後時点で日本人が巻き込まれたとの情報はない。

続きを表示

2017年10月4日のニュース