プロ野球1号打った藤井勇氏は田淵さん打撃の師「怒らず威張らず優しいお父さん」

[ 2017年9月30日 09:15 ]

田淵(左)を指導する藤井コーチ
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 81年前。大阪タイガースの藤井勇さんがプロ野球第1号本塁打を記録した。1936年(昭11)5月4日のセネタース戦(甲子園)。左中間を破るランニング本塁打だった。入団2年目の70年から、当時ヘッドコーチだった藤井さんに指導を受けた田淵幸一氏(本紙評論家)は「私の打撃の形をつくってくれた恩人。怒らず、威張らず。優しいお父さんだった」と懐かしがった。

 藤井さんは選手とともに合宿所「虎風荘」に寝泊まりしており、田淵氏が打撃で悩んでいると「よく部屋に来てくれて、“バット持って屋上に行こうや”と。そこで素振りをしてね」。西武移籍後も「連続写真を持ってアドバイスに来てくれた」。田淵氏も藤井さんの教えを紙に書いてロッカーに貼っていた。

 「本当に熱心な人だった。10万号でこうやってまた名前が出るのはうれしい」。愛弟子はそう言って喜んだ。

 ◆藤井 勇(ふじい・いさむ)1916年(大5)10月20日、鳥取県生まれ。鳥取一中では春夏3度甲子園に出場し、34年夏には沢村栄治率いる京都商に勝利。36年から大阪タイガースでプレーし、戦地召集を経て大洋などに所属。55年に大洋の兼任監督を務め、70年から阪神ヘッドコーチ。通算成績は1487試合で打率・275、146本塁打、764打点、70盗塁。86年2月7日没、享年69。

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2017年9月30日のニュース