阪神・掛布2軍監督に聞く 選手には「1人に強くなれと言った」

[ 2017年9月29日 05:30 ]

ウエスタン・リーグ   阪神16―4広島 ( 2017年9月28日    甲子園 )

<神・広>花束を手に歓声に応える掛布2軍監督
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 【阪神・掛布2軍監督に聞く】

 ≪会見で≫

 「どうもありがとうございました」

 ――2年間を振り返って。

 「ちょっと短かったかな。でも、若い選手たちが着実に力をつけてきた。1軍でも活躍してくれた。成果もあった。非常に濃い2年間だった。僕を若返らせてくれた。これから年を取るかもしれない」

 ――2年前の秋に就任。

 「もう60歳でしたから。いまの子供たちとは世代が違う。ギャップを埋められるかなと思っていた。いまの子は根が明るい。意外とすんなりと入れた。上から見て指導してはいけないと思っていた。ハードルをくぐる形で目線を下げ、同じ気持ちで同じ汗を流そうとやってきた。優しい監督だったかもしれない」

 ――思い出は。

 「育成だった原口は3桁の背番号を付けて、一人で黙々とバットを振っていた。昨年、山田コーチの背番号を付けて1軍でサヨナラ安打を打ってくれた。忘れられない」

 ――多くの若手を1軍で送り出した。

 「ほとんどの選手が落ちてきた。寂しい。もう少し力をつけなさい。1軍での経験は無駄にならない。これから何が必要なのか。北條たちも分かっている。期待したい」

 ――ファンに対しては。

 「2軍の育成は鳴尾浜がホーム。連日たくさんのファンの方が来てくれて素晴らしい舞台をつくってくれた。若い選手が伸びたのはファンの目があったから。若い選手を育ててくれた。感謝したい。1軍はこれから厳しいCS以降の戦いが残っている。日本一にならないといけないシーズン。残り少ないですが、1軍に注目してもらえれば。ここにいる選手もCS、日本シリーズを経験してほしい。本当にありがとう」

 ≪テレビインタビューで≫

 ――今の心境は。

 「意外とスッキリしている。やりきった感ではないけど、2年間で自分ができることはできた。満足している部分と、もう少し時間があれば、また違う形のものを作ることができた。それが半々ですかね。今はやりきった感じの方が強い」

 ――最後に選手一人一人と握手した。

 「2年間をいろいろと思い出した。野球の世界にいると、1年の時間が経つには非常に早く感じる世界。その中で若い選手たちが結果を求められる。準備の野球を、いろいろと思い出しながら握手させてもらった」

 ――ファンの存在について。

 「ファンの目が選手を育てる。連日大勢のファンが足を運んでくれた。我々の手助けよりも、ファンの目のパワーが選手を育てる。これからもファンの方には球場に足を運んでもらって、若い選手の野球を厳しく、そして温かく見守ってもらいたい」

 ――掛布コールは。

 「これは現役時代を思い出した。背中がぞくぞくするような、左打席に入ったときのような気持ちになった。何とも言えない掛布コールの間というかね。現役時代を思い出した。非常に良いものですね」

 ――胴上げは辞退した。

 「この年ですから。現役を辞める時にベンチ前でチームメートに胴上げをされた。それでもういいと思う。胴上げは勝者がするもの。僕はもう去って行く人間ですから。三塁で選手たちが胴上げをしたいと言っていたらしいんですけど、選手には非常に感謝している。僕自身の気持ちで胴上げをされる身ではないなと。そういう思いの方が強かった。選手には本当に申し訳ない。そこまで足を運ぶことができなかった」

 ――辞退の気持ちは固まっていたのか。

 「決めていました。狩野が昨日辞めて、狩野は“胴上げするから”と。絶対にしなくていいから気にしないでと言った。照れとか、そういう部分ではなくて、優勝監督が胴上げされる美学。選手が引退する時に最後のグラウンドの別れの胴上げはいいと思う。僕はされる立場ではない。立場的に違うと最初から思っていた。僕の中では絶対にしないと。掛布コールで十分。感謝しています」

 ――試合前の心境は。

 「今日特別に何かしたことはない。同じようなコーチミーティングをして、グラウンドに出た。古屋コーチにいろいろ話をしただけ。昨日だけは甲子園で狩野の最後のゲームだから、いい試合をしようじゃないかと。最終戦をきれいに終わらせようと。この2試合はお前らにとって大切な試合だよと言わせてもらった。今日改めて、声をかけたということはない」

 ――試合を振り返って。

 「一番うれしいのは藤浪のフォームのバランスが良かったな…という印象がすごく強い。変に球がぶれることがなかったし、抜けることも少なかった。藤浪と握手して、“今日は良かったな”と言った時に非常にいい笑顔をしていた、きっかけや手応えを感じてくれたら」

 ――打線は就任後最多の16得点。

 「日頃ああやって打てよ…と言いたい。今岡コーチも“こんなに打たなくていいんだよ”とね」

 ――改めて今後のファームについて。

 「選手たちには申し訳ない。契約にどうこう言う立場ではない。次の指導者にバトンを託して、いいファーム、いい1軍という形をつくっていただいて日本一になる。でないと、広島のように時代を作っていけない。そのために頑張って欲しい。もうちょっと1軍に定着して、1軍の監督、コーチが満足する数字や結果を残さないといけない。1軍で勝負できない。まだまだ若い選手の勝負だし、やらないといけないことはたくさんある」

 ――選手には向けては。

 「1人に強くなれと言った。練習する時は手助けする我々がいるけれども、試合になると1人で全てのプレーを終了させないといけない。群れをなすんですよね。野球は個々のプレーの集合体。群れをなす前に、1人に強くなれということをずっと言ってきた。1人でやる準備を10分でも20分でもいいからやって、それを継続できる選手になると1軍で通用するような野球ができる。だいぶ1人に強くなっている」

 ――球団からはオーナー付きアドバイザー就任を打診されている。今後について。

 「すごく我慢をした2年間。非常に強い若い選手に刺激された。楽しい刺激的な2年間。常に野球の現場の近くにいると思う。ゆっくりいられる時は野球がそばにいる時。まだはっきり聞いていない。球団との時間があるので話をして結論を出したい。前向きに考える」

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