【特別寄稿】黒田博樹氏 セ界一打線が若い投手を育てた

[ 2017年9月19日 10:00 ]

セ・リーグ   広島3―2阪神 ( 2017年9月18日    甲子園 )

連覇を達成した今季の広島の戦いぶりを語る黒田氏
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 昨季25年ぶりリーグ優勝に貢献して現役を退いた黒田博樹氏(42)が、スポニチ本紙に特別寄稿した。広島の連覇を祝福し、後輩投手たちへのメッセージを込めた。

 今季のカープの強さを象徴するのは、何と言っても打線だろう。リーグ一番の強力打線が、若い投手たちを助けている。最少失点で切り抜ければ、勝ちの権利を得る、あるいは勝利するという経験をすることで、投手は粘ることを覚える。点を失った後に、逆転してくれるというような成功体験は、投手を育てる。そんな好循環が、今季の成績に表れたと思う。

 先発陣では薮田、岡田が目覚ましい成長を遂げた。大瀬良や中村祐も先発に加わり、2年前と比べローテーションの顔ぶれは大きく変わった。それが、強さの証明でもある。薮田には以前、初球からコースを狙い過ぎない考え方を伝えた。直球にファウルを打たせられる球威があるからで、誰にも当てはまる話ではないが、制球改善の一助になったのなら幸いだ。岡田の成績も2年目なら十分。突然崩れる課題は、経験を積みながら自分で克服しなければならない。今季の成功体験を生かしてほしい。

 ブルペン陣の貢献度も高い。今村、中崎、一岡。とりわけ、中田の存在が大きいと感じる。勝ち負けの試合展開を問わず登板し、早い回でいくことがあれば、延長でも投げる。今村は開幕から中崎の状態が上がらない中、彼がこけてしまっていたらチームは恐らくこの位置にいない。

 2連覇はOBとしても誇らしい。20代半ばから後半の才能ある選手が多く、間違いなく黄金時代が到来していると思う。優勝を経験したことで、しっかりした考えを持つ野手が増えたし、ベテランの新井がいろんな面で引っ張っている。この上は投手も並走して両輪になってもらいたい。

 その意味でも、先頭に立って投手陣を引っ張る人材が欲しい。皆で頑張ることは大事だが、仲良くやるだけでは失速した時に共倒れになりやすい。オレがエースだ…という気概を持った選手が出てくれば、周りは引っ張られ、チームはよりまとまる。野村、大瀬良、薮田、岡田――。皆にチャンスがある。

 無論、投げるだけではエースと呼べない。普段の練習態度、マウンドでの立ち居振る舞い、野手への心遣いも大事になってくる。年齢は関係ない。投手陣をけん引する人材が現れ、かつ投手と野手が信頼関係を失わなければ、カープの強さは揺るがないものになっていくだろう。期待して見守りたい。(元広島東洋カープ投手)

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2017年9月19日のニュース