誠也、3連覇へ「来季は4番でフル出場」 ケガして気付いた大切なこと

[ 2017年9月19日 07:21 ]

セ・リーグ   広島3―2阪神 ( 2017年9月18日    甲子園 )

<神・広>エルドレッドに背負われ、笑顔を見せる鈴木
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 肩を借りてグラウンドに現れた。広島・鈴木だ。右くるぶし骨折、三角じん帯損傷のリハビリ中だが、ギプス固定した足で広島から来た。胴上げの輪に笑顔で加わり、ファンへのあいさつには野間らに支えられて向かった。帰りはエルドレッドの「おんぶ」だった。

 「この場に立ち会えたことに感謝したい。大事な時期に離脱して迷惑を掛けたけど、連覇は素直にうれしい」

 8月23日のDeNA戦で守備中に故障し、戦線離脱。それでも、新4番の存在は絶大だった。新井が休養した4月11日の巨人戦で広島68代目の4番に就き、3安打2打点。同29日のDeNA戦では新井と同時先発した試合で初めて4番に座り、2本塁打3打点。以降は完全に定着した。先発4番は98試合。23歳はドラフト制以降、優勝チームの4番としてはセ・リーグ史上最年少だ。

 「正直、4番に特別な意識はなく、6番よりも打席が増えるのがうれしい。それぐらいの感覚でした。でも、5〜6月あたりから徐々に考え始めて…」

 50%の本能と50%の技術の融合が強打の基盤だが、4番として勝つための打撃を考えるあまり、ひらめきや思い切りなどの長所が次第に消えた。重圧との闘い。アクシデントはそんな状況で起きた。

 「今思うと、小さくなっていました。もう少し自分本来のスタイルでやっておけば…」

 手術による入院中、心洗われる光景に接した。白血病で抗がん剤治療を受けながら必死にリハビリする幼い子供、立つのがやっとでも手すりを伝って懸命に歩行訓練する年老いた男性…。「もっと苦しい思いをしている人がいる。何を小さなことで悩んでいたんだ…と」。止まった時間には収穫があった。

 CS以降も復帰できない見通しだが「この経験は生きます」と言い切る。来季も4番を打ちたいか――。答えは力強かった。「今年は我慢して使ってもらった。恩返しするためにも、4番でフルに出て成績を残したい」。3連覇を狙う来季、でっかくなって帰ってくる。 (江尾 卓也)

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