巨人 26年ぶり松本の空に驚き2発 宇佐見9回同点弾、寺内11回劇弾

[ 2017年9月6日 05:35 ]

セ・リーグ   巨人11―8中日 ( 2017年9月5日    松本 )

<巨・中>延長11回1死二、三塁、寺内はサヨナラ3ランを放ちガッツポーズ
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 巨人は5日、中日に11―8でサヨナラ勝ちした。敗色濃厚の9回に宇佐見真吾捕手(24)が右越え3号2ランで同点に追いつき、11回に寺内崇幸内野手(34)が自身初のサヨナラ弾となる左越え1号3ラン。1・5ゲーム差の3位・DeNA追走へ、松本の地で大きな1勝をつかんだ。

 お立ち台の2人が一番驚いていた。巨大なプラスチックおけで水を浴びせられたが、寺内の体は火照ったままだった。

 「プロ野球人生の中で、一番芯を食ったホームランだった」。8―8の延長11回1死二、三塁。途中出場の34歳が、福谷の直球を左翼席に運んだ。4年ぶり通算5本目。プロ11年目で初のサヨナラ弾に「自分が最後に打てるなんて思ってもいなかった」と守備の男は興奮した。

 もう一人のヒーロー、宇佐見も自身の「曲芸打ち」に驚いた。9回2死の土壇場。8―5から1点を奪い、なお走者一塁だった。田島のフォークが膝下に食い込むと、体を引きながらすくい上げた。「試合でもう一度やるのは無理だと思う」。地面スレスレの、明らかなボール球を右翼へ運ぶ3号2ラン。「ボールをいい感じでバランス良く見られている証拠」と目を輝かせた。

 左目は新人だった昨年6月に白内障の手術を受けた。術後はまず、球を見ることから始めた。打撃マシンの前に立つと、バットを構えて見送った。ひたすら「見る」日々。磨いた動体視力で、同点弾を生んだ。

 まるでゴルフのようなスイング。だが、ゴルフは野球とは逆の右打ちだ。高校の授業で初めてゴルフクラブを握ったときは左で試したが「全部スライスしてしまうので」と右打ちに変えた。この日は左で、ブレない弾道を描いていった。

 26年ぶりの松本での試合で、巨人ファンに勝利を届けるのは54年以来。本塁打は53年7月11日に川上哲治氏が2本塁打するなど4本塁打が出た国鉄戦以来64年ぶりだ。初めて訪れた宇佐見は「いいところ!」と言った。4時間24分の激闘。3位DeNAに1・5ゲーム差で踏みとどまった。「打撃の神様」が寺内、宇佐見に乗り移ったようだった。 (神田 佑)

 ▼巨人・高橋監督(寺内は)人生で一番か分からないけど、僕が知っている中では一番の当たり。(宇佐見は)ここ一番でいいものを見せてくれている。(低めのボール球を)打てる技術は大したもの。

 ≪1万号あと7≫巨人は延長11回サヨナラ勝ち。松本では54年4月22日洋松戦(○7―5)以来63年ぶりの勝利となった。この日は9回宇佐見が同点2ラン、11回寺内がサヨナラ3ランと2本の殊勲アーチ。チームで9回と延長回に同点弾とサヨナラ弾が飛び出したのは09年8月4日広島戦で亀井が9回同点2ラン、11回サヨナラ2ランと2打席連続でマークして以来8年ぶりになる。なお、巨人の球団創設以来の通算本塁打は9993本。プロ野球史上初となるチーム通算1万号にあと7本だ。

 ▽巨人の前回松本でのアーチ 53年7月11日国鉄戦の2回に先頭・南村が井上から3号ソロ。樋笠、入谷の安打で1点を加えると3番与那嶺が3号3ラン。さらに4番川上が交代直後の箱田の初球を右越え1号ソロ。この回6点。川上は6回にも2号ソロ。チーム4本塁打で10―3と国鉄に大勝。

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