福留 9回逆転弾も一瞬…「こういう結果だから」

[ 2017年9月6日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神7―8広島 ( 2017年9月5日    マツダ )

<広・神>9回1死一塁、福留は中崎から左越え2ランを放つ
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 あまりにも悔しい、悔しすぎる空砲だった。これぞ主将の働きで救世主となったはずの阪神・福留の立場は、わずか数分後に暗転。試合後は「まあもう、こういう結果だから」とだけ言い残すと、足早に帰りのバスに乗り込んだ。

 消えかけていた灯火を再び燃え上がらせたはずだった。9月の首位と2位との対決にふさわしく、取りつ取られつの展開で迎えた9回。5―6と1点ビハインドの1死一塁で打席に立った。直前で西岡が送りバントを失敗。何とか長打が欲しい場面で、中崎の2球目の外角球を打ち抜いた。強烈なライナーは失速することなく左翼スタンドへ着弾。17号逆転2ランで、一度はマツダスタジアムを静まりかえらせた。

 片岡打撃コーチが「完全に狙い打ちやし、あの辺はさすが福留です」と脱帽する一発。打つべき人が打っての土壇場での逆転劇だっただけに、余計に悔しさが募った。

 絶対負けられない一戦だった。その重みを身に染みて分かっているのが福留であり、糸井という百戦錬磨の猛者たちだ。糸井は9回先頭の第5打席で相手守護神・中崎の出鼻をくじく左前打で出塁。最後まで諦めない姿勢をナインに見せつけ、広島にプレッシャーをかけた。その一打が福留の一発にもつながった。4回の第3打席でも全力疾走で遊撃内野安打するなど奮戦したが、白星だけが伴わず、試合後は「悔しいので…」と言葉を絞り出した。

 ここまで来れば、ゲーム差や相手の優勝マジックなど関係ない。目の前の試合に全力で勝ちに行く――それだけだ。ベテラン2人が9回に見せた姿を全ナインが胸に刻み、可能性が消える日まで前を向いて戦い続ける。(山添 晴治)

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