雄星なら乗り越えられる…新フォームで白星、真価が問われる2カ月間

[ 2017年9月1日 10:30 ]

31日の楽天戦で13勝目を挙げた西武の先発・菊池
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 9月からクライマックス・シリーズを含めた約2カ月間が、西武・菊池の野球人生を変えるかもしれない。女房役の炭谷は、エースへの思いを口にした。

 「雄星はこの壁を乗り越えれば、価値が上がる。去年までの雄星だったらどうかなと正直考えるけど、今年は大丈夫だと思う。乗り越えることができる投手です」

 8月17日の楽天戦(メットライフドーム)、24日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)と2段モーションによる反則投球を2試合連続で宣告された。クイック投法に切り替えて両足がつりながら完封勝利を飾った17日の試合後は、「この時期に反則投球の宣告はかわいそう」と菊池に同情的な声が多かった。

 だが、日本野球機構(NPB)の友寄正人審判長が事前に注意していた経緯を明らかにすると風向きが変わった。「過去に注意されていたのに直そうとしなかった姿勢が悪い」。4月から反則投球を宣告された8月までの登板試合の投球フォームをスローモーションで検証した動画の再生回数は90万回を超えた。菊池を擁護する声が減り、批判的なコメントがインターネットで多く書き込まれるようになった。「菊池が2段モーションならあの投手は違うのか」、「菊池は国際基準なら2段モーションではない。ルールで明文化するべきだ」と球界でも大きな反響を呼んだ。

 過去に岩隈(マリナーズ)、三浦(元DeNA)、藤川(阪神)も2段モーションの規制が強化され、修正に迫られた。シーズン終盤で同じ状況になった菊池には時間がない。投球練習、登板を重ねながら、現実と理想に折り合いをつけてフォームを固める。

 ただ、その作業は非常に難しい。2試合連続反則投球を宣告され、新フォームで投球練習も制球が定まらず試行錯誤を繰り返した。31日の楽天戦(Koboパーク宮城)で2失点完投勝利を飾ったが、5回に連続四球を出した時は「どうやって投げたか分からなくなった」と振り返っていた。投球のメカニズムは本当に繊細だ。

 今回の件で菊池が心身ともに受けたダメージは少なくない。だが、チームの命運を握るエースは前に進むしかない。8月終了時点で投球回数156回2/3、13勝、防御率2・30はいずれもリーグトップ。沢村賞も狙える左腕の真価が問われる。(記者コラム 平尾 類)

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2017年9月1日のニュース