糸井、移籍1年目で達成“セ界制覇弾” 初先発G谷岡にプロの洗礼

[ 2017年8月27日 08:40 ]

セ・リーグ   阪神8―4巨人 ( 2017年8月26日    東京D )

2回2死一、二塁、糸井は右越え3ランを放つ(投手・谷岡)
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 阪神・糸井嘉男外野手(36)が有言実行の一撃を放った。26日の巨人戦(東京ドーム)で2回に右翼席へ先制の11号2ラン。移籍後初の巨人戦アーチが殊勲の決勝弾になった。連勝が止まった前夜に「明日は絶対取る」と言い残した通りの活躍。加入1年目からセ・リーグ全5球団から本塁打を記録し、優勝マジック20とした首位の広島に食らいついた。

 悔しさ、歯がゆさ、もどかしさ…。一日前にたまった全ての思いを糸井が一振りで吐き出した。2回2死一、二塁。目前での能見のバント失敗で生まれた負の空気を豪快に振り払った。

 「先制のチャンスだったので、とにかくランナーを返そうと思い切り振り抜きました。いい結果になってくれてよかった。勝ってよかったです」

 2ストライクからの3球目だった。空振りした初球と同じ軌道の縦に曲がる谷岡のスライダーをフルスイングで右翼席にたたき込んだ。右脇腹筋挫傷から復帰後3発目。貴重な先制弾、そして、決勝弾になった。

 「セ界制覇」だ。巨人戦初アーチで、開幕からセ・リーグ全5球団に対して本塁打。FAやメジャー経由での阪神加入1年目での達成は94年の石嶺和彦、02年の片岡篤史、03年の金本知憲、10年の城島健司に続いた。抜群の注目を集め、重圧を背負う人気球団でも変わらず能力を発揮する一流打者の証だ。

 パ・リーグ出身で蓄積した対戦投手の情報は少ない。移籍決定後は球団から受け取ったデータを自分なりに分析して準備。映像での研究にも時間を割き、時には同僚に気になる投手の印象を聞くこともあった。「超人」と評される裏で地道な準備の積み重ねを結果に結び付けてきた。

 首位・広島の背中だけを見て乗り込んだ長期ロード最後の東京ドーム。逆転負けした前夜は普段なら多くを語らない帰途で「悔しい。明日は絶対に取る気持ちで。取ります」と誓っていた。最高の結果で約束を果たし、「できてよかった」と少しだけ表情を緩めた。

 「能見さんに勝ちが付いてなかったから。勝ってよかった」

 最後は苦しみながら投げ続けてきた先輩投手を思い、次戦を見つめた。先発復帰した18日の中日戦から8試合連続安打。6勝2敗の戦績が存在感の大きさを物語る。金本監督も「いいところで打ってくれましたね」と最敬礼。残り29試合。絶対にあきらめない猛虎の中心に糸井がいる。(巻木 周平)

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2017年8月27日のニュース