花咲徳栄、キーワードの「破壊力」が生んだ96年ぶり猛打初V

[ 2017年8月25日 10:16 ]

初優勝を飾りナインに胴上げされる花咲徳栄・岩井監督
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 花咲徳栄が埼玉県勢悲願の夏の甲子園優勝を成し遂げ、幕を閉じた今大会。岩井隆監督が甲子園に「出る」ことから「勝つ」ことにシフトチェンジし、その成果が結実したと言える。

 キーワードの1つが「破壊力」だった。過去の夏4度の甲子園では、相手の「破壊力」に屈してきた。01年は優勝した2回戦で日大三に4―11。9年ぶりに夏の甲子園に出場した11年も1回戦で智弁和歌山に1―11と2桁失点して大敗した。15年は三沢商、鶴岡東を破って夏では同校史上初の8強入りを果たしたが、準々決勝で優勝した東海大相模に7回まで3―2でリードも8、9回に1点ずつ奪われてサヨナラ負け。16年は3回戦でまたしても優勝した作新学院に2―6で敗れた。

 そこで作新学院の小針崇宏監督が重いバットを振らせていると聞けば1・2キロのマスコットバットを振らせた。東海大相模の門馬敬治監督の「とにかく攻撃しないと」という考えに賛同。ベンチ中央での仁王立ちは智弁和歌山の高嶋仁監督と同じだ。いずれも「強打」が代名詞の高校と対戦したことが「凄く大きな教訓になっている」という。「あと1本が出てればとか、単なる精神論的なもので片付けたくなかった。それよりも破壊力。相手にプレッシャーをかける攻撃力がほしいと思った」と毎年入れ替わる高校野球の中で強打の意識を植え付けた。その結果が1921年の和歌山中以来、96年ぶり2度目の全試合9得点以上を挙げての記録的猛打の全国制覇につながった。

 趣味は「CSテレビ鑑賞」だという。ジャンルもゴルフ、映画に加え、宇宙人、心霊、巨大生物ものと多岐にわたる。全国制覇を成し遂げた閉会式後、今何をしたいかを問われると「ゆっくりテレビを見たい」と笑った。2年生スラッガー・野村を擁する新チームの戦いはまもなく始まる。今後も各所への優勝報告など多忙を極めそうだが、自宅のリビングでつかの間の気分転換をしていることだろう。(記者コラム・東尾 洋樹)

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2017年8月25日のニュース