花咲徳栄・岩井監督「逃げない野球」貫いた 亡き恩師の言葉胸に真っ向勝負

[ 2017年8月24日 05:38 ]

第99回全国高校野球選手権最終日・決勝   花咲徳栄14―4広陵 ( 2017年8月23日    甲子園 )

<広陵・花咲徳栄>ナインに胴上げされる花咲徳栄・岩井監督
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 花咲徳栄の岩井隆監督は「オヤジもどこかで見てたんだと思う」と言った。自身が指導者となるきっかけを与えてくれた花咲徳栄の元監督・稲垣人司さん(享年68)の顔が空に浮かび、感極まった。

 「逃げたらあかんぞ」。恩師の最期の言葉は大一番で心の支えだった。綱脇、清水の2投手は今大会6本塁打と絶好調の広陵・中村に真っ向勝負を挑んだ。3安打こそされたが打点は許さず四球もなし。「逃げるということは絶対にしたくなかった。逃げない野球は最後まで貫いてできた」と恩師に感謝した。

 昨年はプロ注目の左腕・高橋昂(現広島)を擁したが、3回戦で敗れた。今大会で68本塁打と最多を記録したように近年は「打高投低」の傾向が強く、全国制覇には投手の複数起用の必要性を痛感していた。制球のいい綱脇が先発で試合をつくり、今大会最速の150キロを計測した清水が終盤のピンチの芽を摘む。勝利の方程式を完成させ「2人の役者がそろった」と称えた。

 アルプス席への優勝報告。普段は振らない手を振った。「選手にはスタンドを見るなと言ってきたけど、最後だけは甲子園の景色を見ようと思った」。勝負師としての指揮官の顔が柔和になっていた。 (東尾 洋樹)

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