清原氏、広陵・中村へ“僕を超えてくれ” 決勝2発で「ドラマチックに決めてほしい」

[ 2017年8月22日 07:30 ]

自身の甲子園5本目のパネルを手に中村にエールを送る清原氏
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 元プロ野球選手の清原和博氏(50)がスポニチ本紙の取材に応じ、22日の第99回全国高校野球選手権大会準決勝・天理戦で同氏の大会5本塁打の記録に挑む広陵(広島)の中村奨成捕手(3年)へエールを送った。自らもPL学園の4番として臨んだ1985年に、宇部商との決勝で2本塁打して優勝と最多記録を樹立。その再現として、決勝での2本塁打での新記録誕生を願った。 (取材・構成=後藤 茂樹)

 自分と同じ右打ちのスラッガー誕生を待ち望んでいたかのようだった。清原氏は、穏やかで温かいまなざしを中村に送った。

 「僕と同じように、決勝で2発で超えてくれたらいいんじゃないですかね。準決勝はヒット3本ぐらいで。抜かれるなら、決勝の2発で見たいですね。それぐらいドラマチックに決めてほしい。今年はホームランが多い。可能性は十分にあるんじゃないですか」

 今秋ドラフト1位候補の中村の噂は、大会前から知人を通じ耳にしていた。ただバットではなく、非常に優れた捕手という評価だった。

 「キャッチャーとしての能力が高い。そういう話の方が、よく聞いていました」

 マスク越しの姿だけではなく、純粋にスラッガーとして。右へ、左へと本塁打を量産する動画を凝視し、躍動する姿に目を凝らす。もちろん右肩に仕込まれたバズーカにも。

 「非常にコンパクトでいいスイングだと思います。基本に忠実で癖もないし。欠点は少ないですね。体に力があるから、バネというか瞬発力もある。足も速いんですよね?」

 近年のプロ野球では、特に打力に優れた打てる捕手が少ない。

 「プロ野球でも捕手は守り重視というところはある。どうしても打率も伸びにくいですし。捕手でここまで打てているのが素晴らしいし、気分良くリードもできていると思う」

 32年前。PL学園の4番として大会5本塁打という金字塔を打ち立て、桑田真澄氏とのKKコンビの夏が完結した。準々決勝の高知商戦で遅めの大会1号を放つと、準決勝と決勝で2本塁打ずつという固め打ちだった。決勝での2発はいずれも同点弾という殊勲打。1年夏に続く2度目の深紅の大優勝旗をたぐり寄せた。50歳の誕生日を18日に迎えたばかりだが、記憶が色あせることはない。

 「覚えていますね。準々決勝まで1本も出なかったので。その時に決勝で当たった宇部商の藤井(進)が、先に4本打っていましたから。僕は決勝に進んだ時点で3本。決勝で2本打たないと超えられない状況だった。桑田には“絶対に藤井には打たすな”と言ったのを覚えています」

 新記録となる5本目は、中堅を守るその藤井の頭上を越えていった。「甲子園は清原のためにあるのか」という実況と、名シーンとして語り継がれる。

 「1年の時の初ホームランと、最後の同点ホームランの5本目が強く印象に残っている。甲子園で、その決勝で2発というのは、自分の中で本当に凄く自信になりましたよね」

 その自信を胸にプロに進み、通算525本塁打を積み上げた。一つの礎となった決勝での2発。ドラマの再現を、32歳年下の中村に期待した。

 ☆清原氏の1大会5本塁打 5季連続出場を果たした85年夏の甲子園。高知商との準々決勝の5回、左翼席中段まで運ぶ推定140メートルの特大アーチ。準決勝・甲西(滋賀)戦では5、7回と2打席連続アーチを放った。宇部商(山口)との決勝は1点を追う4回に、左翼ラッキーゾーンへの同点ソロ。再びリードを許した6回は、バックスクリーン左横中段への同点ソロを放ち、大会新の5本塁打をマーク。この大会は16打数10安打8打点、打率.625と驚異の活躍で、2度目の全国制覇を果たした。

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