雄星「もう8月 なぜ今なのかと」反則投球宣告に怒りの完封12勝

[ 2017年8月18日 05:38 ]

パ・リーグ   西武3―0楽天 ( 2017年8月17日    メットライフドーム )

<西・楽>9回2死、島内を遊飛に打ち取り、吠える菊池
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 西武の菊池雄星投手(26)が17日、楽天戦で今季3度目の完封を果たし、自己最多タイでリーグトップタイの12勝目を挙げた。2回に二段モーションによる反則投球を2度宣告された。それでもクイック投法に切り替え、わずか2安打で7奪三振。エースの熱投は9回に代打・栗山巧外野手(33)のサヨナラ3ランを呼び込み、5連勝で2位・楽天に2・5ゲーム差に詰め寄った。

 9回を無失点で投げきった。ベンチに戻った菊池の目に飛び込んだのは栗山のサヨナラ3ラン。お立ち台で「人生で一番鳥肌が立ちました」と大興奮だ。炎獅子ユニホーム最後の日に劇的勝利。「熱すぎます!(ファンの)皆さんと一緒に燃えることができてうれしい」と喜んだ。

 想定外の出来事は2回1死の場面だった。松井稼への1、2球目、真鍋球審にいずれも反則投球を宣告されてボールになった。セットポジションで右足を上げる際に1度静止して再び上げる二段モーションと判断された。初回に注意を受けなかっただけに戸惑いを隠せなかったがクイック投法で松井稼を空振り三振。続く枡田も投ゴロに仕留めた。怒りがこみ上げる。ベンチに戻る時、グラブで口元を隠して吠えた。

 「難しい試合でした。もう8月ですから。僕らはルールに従ってやるしかない。(春季)キャンプで確認して大丈夫と言われて投げていて。なぜ今なのかと」。クイック投法で92球。下半身に負担がかかるため、4回に両足がつった。6、7回に首脳陣から交代するか聞かれたが「途中降板は選択肢になかった。絶対にこの試合は落としちゃいけない」と続投を志願。最速155キロを計測し、9回の最後の打者・島内にも154キロを投じた。クイック投法でも、直球は65球中57球が150キロオーバーだった。

 09年夏。甲子園で肋骨を骨折しても投げ続けた。「僕、甲子園大好きなので。中1の時から全試合録画して見ていた。菊池家の朝はニュースでなく、甲子園で1日が始まりました」と笑う。ダルビッシュ、田中、由規…。岩手の野球少年は憧れの投手たちのフォームをまねしていた。あれから8年。炎獅子ユニホームで足がつっても最後まで投げ、熱く燃える2安打完封だ。13連勝した同ユニホームの着用試合は5連勝で締めて20勝4敗。勝率・833は驚異的だ。

 2位・楽天に2・5ゲーム差に接近。その楽天に今季5戦全勝のエースは「来週は(首位の)ソフトバンクが待っている。楽天も隔週で戦う。残り試合、全部勝つつもりでいる」と誓った。逆転優勝を諦めていない。 (平尾 類)

 ≪投球の中断は反則≫野球規則5・07(a)、(1)ワインドアポジションの(1)で「打者への投球に関連する動作を起こしたならば、中途で止めたり、変更したりしないで、その投球を完了しなければならない」とある。二段モーションは投球の中断にあたるため反則投球とみなされる。NPBでは05年オフに二段モーションの禁止を決め、翌06年から厳格化された。なお、野球規則6・02(b)の反則投球では、塁に走者がいないときに投手が反則投球をした場合には、その投球にはボールが宣告される。また、6・02(a)、(5)により走者がいる場合は、反則投球をした投手にはボークが宣告される。

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