東海大菅生・松本1失点完投 清宮から「甲子園で勝ってくれ」激励に応えた

[ 2017年8月15日 05:30 ]

第99回全国高校野球選手権第7日・2回戦   東海大菅生11―1高岡商 ( 2017年8月14日    甲子園 )

<高岡商・東海大菅生>8回2死、高岡商の4番・筏を空振り三振に仕留め、雄叫びを上げる東海大菅生・松本
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 2回戦4試合が行われた。東海大菅生(西東京)は松本健吾投手(3年)が1失点完投し、高岡商(富山)に11―1の快勝。元中日の若林弘泰監督(51)に甲子園初勝利を贈った。青森山田の中沢樹希也外野手(2年)が2打席連続本塁打。史上初めて大会3日連続で2打席連続アーチが生まれた。神村学園(鹿児島)、済美(愛媛)も3回戦に進んだ。

 西東京を勝ち抜いた自信を胸に。泣きじゃくった弱さは、もうない。今大会からエース番号「1」を背負う松本が7安打を浴びながら1失点完投。133球を投げ抜いた背中は頼もしかった。

 「西東京では全国を代表する打者と戦って自信になった。激戦と言われた西東京の代表として甲子園で結果を残そうと(みんなで)話していた」

 6月に握りを浅くしたことで制球が安定したスプリットを駆使。この日の7三振中5個が同球種で、9回も無死から連打を浴びたが、スプリットを決め球に連続三振。最後は直球で遊ゴロに仕留め、試合を締めくくった。

 背番号11をつけ2失点完投した西東京大会決勝で通算107本塁打の早実・清宮を単打1本に抑えた。4番・野村には3安打されたが、同準々決勝の日大三戦では、プロ注目の桜井、金成は2人で計8打数1安打。修羅場をくぐってきた経験が松本を強くした。清宮から「甲子園で勝ってくれ」と託された右腕は「低めの変化球は通用すると分かった」と胸を張った。

 四死球を恐れて腕が振れない時期があった。若林監督からは「球は一流。気持ちは三流。僕に怒られて涙を流したことは1度や2度じゃない」と精神面の弱さを指摘されてきた。それでも、今年1月からメンタルトレーニングを導入、寮の部屋に「俺がエースだ」と張り紙もして意識改革。若林監督に甲子園初勝利を贈り「先生のおかげでここまでこられた」と感謝した。

 同校では、96年夏以来、21年ぶりの白星をもたらした。「全国制覇が目標」と力を込める右腕が、敗れ去った同志の思いを背負って頂点を狙う。 (東尾 洋樹)

 ◆松本 健吾(まつもと・けんご)1999年(平11)4月14日、東京都生まれの18歳。小2から野球を始め東京青山シニアでは元中日の宮下昌己氏から指導を受けた。東海大菅生では1年秋からベンチ入り。最速145キロ。1メートル80、74キロ。右投げ右打ち。

 ▼今年の西東京大会決勝・東海大菅生―早実 7月30日に神宮球場で行われ、東海大菅生・松本が7安打2失点完投で6―2で勝利。2点リードの8回1死から清宮に右前打されたが、続く野村を遊ゴロ併殺に仕留め逃げ切った。松本と清宮の対戦は一ゴロ、四球、捕邪飛、右安の3打数1安打。神宮球場は観衆3万人で満員札止めだった。

 ≪東京勢ダブル3回戦進出≫西東京代表の東海大菅生が96年以来の夏勝利で、東東京代表の二松学舎大付に続き初戦を突破した。今大会はともに2回戦から登場で東京勢のダブル3回戦進出は早実、関東第一がともに4強入りした15年以来2年ぶり。東京勢は夏170勝目(都道府県別1位)で春夏通算は294勝。今大会中に大阪(363勝)、兵庫(303勝)に次ぐ300勝を達成することができるか。

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