甲子園は指導者にとっても特別な場所…甲子園 熱い思いに注目

[ 2017年8月6日 10:15 ]

聖光学院・斎藤監督
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 いよいよ99回目の夏の熱戦が始まる。全国高校野球選手権(7日開幕、甲子園球場)は4日に組み合わせが決定した。ともに優勝候補に挙げられる横浜(神奈川)VS秀岳館(熊本)が1回戦で激突するなど、初戦から好カードが目白押し。全国の高校野球ファンも開幕を心待ちにしていることだろう。

 「聖地」と称される甲子園は、球児だけでなく指導者にとっても特別な場所だ。福島代表・聖光学院は、戦後最長の11年連続出場という大記録を引っさげて今年も大舞台に帰ってくる。福島支局時代、スコアブックもつけられなかった私に野球取材のいろはを教えてくれたのが、同校の斎藤智也監督と横山博英部長。いわば「恩師」のような存在で、個人的に思い入れは強い。

 福島大会で優勝した直後、すぐに祝福の電話を入れた。「また甲子園の舞台に立たせてもらえる。本当にありがたい。感謝しないといけないね」と斎藤監督。横山部長も「11年連続って、凄いことだよね。ちょっと前までは聖光“学園”だとか、青森の光星学院さんとよく間違えられていたもんね」と喜びを噛みしめていた。

 ある高校のベテラン指導者は言う。「高校野球の監督は、相当な情熱がなければ務まらない仕事だよ」。教員であれば授業や生徒指導などが主たる業務で、プラスアルファとして部活動の指導にあたる。平日には朝練習があったり、土日も練習試合が組まれることが多い。年末年始ぐらいしかまともな休日はない。

 斎藤監督も横山部長も教員で「野球を通じた人格形成」をモットーに掲げる。2人の指導哲学は共通している。

 「野球だけがうまくてもだめ。礼儀作法、感謝、仲間を思う気持ちだったり。野球部の活動の中で、人としての成長を促していくことが我々、指導者の役目」(横山部長)。

 「野球部で3年間頑張ってよかったな、と思えなければ意味がない。社会に出たときに役に立つ経験を積ませてあげたい。そのためには野球の技術よりも“人として”という部分が大切になってくる」(斎藤監督)

 今夏の地方大会に参加したのは3839校。甲子園にたどり着けなかった高校すべてに物語があった。高校野球には勝ち負けでは語れないドラマがあり、それが人々の心を打つ。野球部員にとって夏の大会は3年間の集大成だ。そして、指導者もまた熱い思いを抱いて聖地に立つ。7日に開幕する夏の甲子園。指導者に注目してみるのも、楽しみ方のひとつかもしれない。(記者コラム・重光 晋太郎)

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2017年8月6日のニュース