左腕最速158キロの雄星 転機は土肥コーチとの出会い「がむしゃらに投げた球ない」

[ 2017年8月4日 05:30 ]

パ・リーグ   西武8―1楽天 ( 2017年8月3日    メットライフドーム )

<西・楽>8回1失点で11勝目を挙げた菊池
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 炎獅子の勢いが止まらない。西武は3日、楽天を8―1で下し、91年以来、26年ぶりの12連勝を飾った。エースの菊池雄星投手(26)が8回を3安打1失点でハーラートップタイの11勝目を挙げた。2位・楽天との差を4ゲームに縮め、4日からは6・5ゲーム差を追う首位ソフトバンク3連戦。熱パの主役に一気に躍り出る。

 異次元の投球だ。菊池が自身の記録を塗り替えるプロ野球左腕史上最速の158キロを計測し、8回11奪三振1失点の快投でリーグトップの11勝目。2位・楽天に4ゲーム差まで迫る勝利に導き、充実感が体を包んだ。

 「本当にいい勝ち方ができている。一丸となって戦えている証拠です」

 万全な状態ではなかった。試合前のブルペンで左肩回りの張りを感じ、初回にもアクシデントが起きた。先頭の茂木を一ゴロに仕留めてベースカバーに入った際、右足をひねった形でベースを踏み、転倒した。しかし、5回2死に聖沢に中前打を許すまで完全投球で不安を吹き飛ばした。

 5回先頭のウィーラーへの6球目。内角高めのボール球だったが、メットライフドームの電光掲示板に計測された表示は158キロ。自身が15年9月13日に出したロッテ戦の157キロを更新した。速いだけではない。「がむしゃらに投げた球はないつもり。バランスの強弱をつけた」。115球。付け入る隙を一切与えなかった。

 腕は振るのではなく、体に巻き付いて振られる――。理想のフォームに近づいている。転機は14年オフ。土肥投手コーチが就任したときだった。同年は5勝11敗と大きく負け越し。球は速いが制球難で球の伸びも欠いた。腕だけの力に頼った投球から股関節、体幹と「軸」を意識の中心に据えた改造に励んだ。昨季まで三振の決め球で直球は34%だったが今季は50%を超える。土肥コーチも「スピードも、もっと出ると思う」と断言した。

 菊池が生まれた91年の8月から9月にかけて以来の12連勝。球団内では連勝が始まった赤い「炎獅子ユニホーム」の着用期間を当初の17日より延ばす案も出ているという。91年と同様、12勝のうち先発に勝ち星が11勝。黄金時代の戦い方に似ている。当時の主力メンバーだった辻監督は「ソフトバンク戦も勝つつもりです。今の選手は頼もしい」と話した。最高の状態で4日から首位ソフトバンクを本拠地で迎え撃つ。 (平尾 類)

 ▼左投手の球速 スピードガンが普及してからのこれまでの最速は、菊池が15年9月13日ロッテ戦でマークした157キロ。2回1死でデスパイネを二ゴロに抑えた球だった。2軍戦では12年に川原(ソ)が158キロを計測している。右投手も含め日本最速とされているのは大谷(日)の165キロ。16年10月16日にソフトバンクとのCSファイナルS第5戦でマークした。

 ≪左腕最多勝ならチーム初≫菊池(西)がハーラートップタイの11勝目。楽天戦は通算13勝4敗と好相性だが、今季は4戦4勝(防御率0.84)、昨年5月25日からは7戦7勝と圧倒。菊池が最多勝のタイトルを手にすればチームでは09年涌井以来8年ぶり。ただし過去に獲得した9人(19度)は全て右投手。左腕最多勝ならチーム初めてになるが、どうか。

 ▽西武の91年の12連勝 打線は秋山、清原、デストラーデのクリーンアップで不動。連勝期間中の14試合(2分け含む)で秋山、清原は4本塁打、デストラーデは7発16打点と爆発した。全試合に1番で出場した辻監督は打率.190。投手陣は12勝のうち先発が11勝。郭泰源、石井が3勝、工藤、渡辺久が2勝、潮崎1勝。チームの完封勝ちは4度で、14試合の平均失点は1.93と2点以下だった。最終的に81勝43敗でリーグ優勝、日本シリーズでも広島に4勝3敗で日本一。

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