【西東京】終戦の早実・清宮 進学へ 軸は系列の早大、米大学も視野

[ 2017年7月31日 06:50 ]

第99回全国高校野球選手権西東京大会決勝   早実2―6東海大菅生 ( 2017年7月30日    神宮 )

<早実・東海大菅生>最後の夏が終わり天を仰ぐ清宮(手前)
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 早実・清宮幸太郎内野手(3年)が高校通算最多とされる記録を更新する108号を放てず、夏を終えた。第99回全国高校野球選手権大会(8月7日から15日間、甲子園)の西東京大会決勝が30日に行われ、早実は東海大菅生に敗れて2年ぶりの甲子園出場を逃した。注目される清宮の進路は、進学が濃厚であることが分かった。

 唇をかみしめ、気丈に振る舞ってきた清宮の頬を大粒の涙が伝った。ともに戦ってきた仲間への思いを問われた時だ。26秒の沈黙。目はみるみる赤く腫れ、感情があふれ出た。

 「主将になっていろいろなことをみんなに言ってきたけど、文句一つ言わずついてきてくれた。準優勝という結果ですけど、日本一のチームだった」

 甲子園に行けなかった悔しさももちろんある。だが、それ以上に、苦楽をともにした仲間と早実のユニホームを着てプレーする機会がもうなくなったことが寂しかった。

 新チーム結成後、東京では19連勝中だったが、最後の最後に負けた。1―1の5回2死一塁。三塁・生沼のハーフバウンドの送球を後ろにそらし(記録は三塁失策)、勝ち越し点を与えた。2―4の9回1死一塁では内野安打の打球処理で悪送球。失策で試合を決定づける追加点を許した。

 記録更新の一発は出なかった。4打席全て走者がいない場面で、打線は分断された。最終打席となった8回に鋭い右前打を放ったが「持ち味の打撃でカバーできなかったのが敗因」と悔やんだ。

 東京北砂リトル時代に出場した世界大会で優勝の原動力となり、飛び抜けた体格から米メディアが「日本のベーブ・ルース」とニックネームをつけた。注目を集めながら早実に入学。本塁打を量産し、ファンを引きつけた。「濃い2年半だった」と言った。

 注目されるのは進路。「この先どうしようかは考えていない」と話すにとどめた。だが、複数の関係者の話を総合すると、進学の方針を固めているという。系列の早大を軸に、米国の大学も視野に入れているとみられる。今春センバツ出場時のアンケートで将来の夢に「メジャーリーグで本塁打王」と記した。その目標に歩んでいくため最良の選択肢を探る。

 「高校野球はこれで終わってしまったけど、まだ次がある。準優勝で終わってしまったことは、“まだ次があるんだぞ”と神様に言ってもらってると思ってやりたい」

 入学直後に「本塁打じゃなければ意味がない」と考えていた大砲は、勝利への一打を追求する主将に成長した。怪物伝説はまだまだ続く。(東尾 洋樹)

 ▼早実・和泉実監督 監督がいろいろ言うのではなく、キャプテン(清宮)を中心に生徒たちがつくり上げてきたチームだった。ただ、勝負事なので勝たないといけない。その点では、監督の私がそのチームにひと味、ふた味をつけてあげることができなかった。

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