福留、古巣本拠で初の代打V弾 金本監督「千両役者ですね」

[ 2017年7月30日 08:40 ]

セ・リーグ   阪神4―2中日 ( 2017年7月29日    ナゴヤD )

<中・神>延長10回1死一塁、代打・福留が右中間に9号勝ち越し2ランを放つ(投手・田島)
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 かつて全身に浴びた歓声を悲鳴に変えてみせた。阪神・福留のバットから放たれた白球が完璧な弾道を描き、青く染まった右翼スタンドに飛び込む。古巣のファンには非情過ぎる9号2ランで、延長にもつれ込んだ激闘に決着を付けた。

 「狙って打てる技術はないんで。思い切って振ろうとは思っていた。(梅野のミスを)カバーできて良かった」

 出番は10回1死一塁。直前で梅野が送りバントを失敗する嫌な流れの中で、代打で打席に立った。イニングまたぎだった相手守護神・田島の2ボールから高めに浮いた直球を、極限まで集中力を高めたベテランが、逃すはずもなかった。

 特別な場所での特別な一発だ。試合後、報道陣に「日本復帰してからナゴヤドームで初本塁打やろ? まさかこういうところで出るとは思わなかった」と自ら明かした。本人の言葉通り、意外にも古巣の本拠地でのアーチは中日時代の07年6月11日のロッテ戦以来、10年ぶり84本目だった。

 第一線で活躍を続けてきただけに途中出場自体が珍しく、代打での本塁打は01年以来、実に16年ぶり2本目。シーズンにおける代打決勝弾は自身初めてだった。ただ、野球ファンの頭に強烈に焼き付いている「代打弾」がある。06年のWBC準決勝・韓国戦。そこまで19打数2安打の大不振でスタメン落ちしたが、0―0の7回1死二塁から王監督が「代打・福留」で勝負をかけた。監督の、国民の期待に見事に応え、右翼席へ先制2ラン。「あの時は本当に気持ちだけだった」と振り返る歴史的一発も、この日と同じ軌道を描いた代打決勝2ランだった。

 相手先発に左腕が続いたことと蓄積疲労を考慮し、3試合連続で先発から外した金本監督も最敬礼するしかなかった。「まあ何て言うか、千両役者ですね。休養が効いたんかな(笑)」。7月21日ヤクルト戦の1打席目に本塁打して以来、18打席ぶりの安打が値千金の一打。ともに打線を引っ張ってきた糸井が離脱し、負担が増している中でも、大事な場面では誰よりも頼りになる。「一つでも多く連勝を伸ばせるように、気持ちを切り替えて明日も頑張ります」。ナゴヤドームにかかった久々のアーチが、その存在感を際立たせた。(山添 晴治)

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2017年7月30日のニュース